井戸端会議
小学校で開かれた、保護者会の帰りのことです。知り合いのママ友と帰っていると、別のママ友・井口さん(仮名・40代女性)が駆け寄ってきました。何となく流れで一緒に帰ることになり、3人で世間話を続けます。
「何の話をしていたの?」と聞いてくる井口さんに、「どこのスーパーをよく利用するかって話ですよ」と答えました。すると彼女はこんなふうに会話を続けてきます。「よく行くスーパー? うちはもっぱらA店かなあ。家から一番近いのはB店なんだけど……なんか安すぎて怖くない? 品質、大丈夫なのかなって」
高級スーパー派のママ友
井口さんには言えませんでしたが、B店は低価格主義を売りにしている、私たちが普段よく使っているお店です。対するA店は、高級感あふれるデパ地下のような雰囲気で、敷居の高さを感じるお店でした。
「井口さんのところ、すごいですね。うちではなかなか手が出せないセレブなお店です」と褒めると、彼女は鼻高々に。その日の帰り道は井口さんイチオシの、A店で買える商品の話をひたすら聞くことになりました。
意外な場所で遭遇
それから数日後のことです。外出していた私は、近くにB店の系列店舗があることを思い出し、そちらに立ち寄ることにしました。すると、なんと店のお肉売り場で井口さんと遭遇したのです。目が合った瞬間に空気が固まりました。
井口さんは平静を装いながら「偶然ねえ。少年野球チームのドリンクの買い出しに来てたの。予算が少なくて、やりくりが大変よ~」と、聞いてもいないことをベラベラと話し始めました。彼女はその場をすぐ後にしましたが、カートに入っていたお肉やら野菜やらを、ばっちり目撃してしまい……。
変わった距離感
この一件以来、井口さんは必要以上に話しかけてこなくなりました。変に見栄を張らずに、ありのままを伝えてくれたらよかったのに。ちょっぴり残念な気持ちを感じつつも、自然と距離ができたことにはどこかホッとしています。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。