毎日のごはんと、夫のグラタン愛
私は料理が得意というほどではありませんが、結婚してからはできる範囲で毎日の食事を用意してきました。凝ったものは作れなくても、家で食べるごはんとしては十分だと思いながら続けています。夫の亮平(仮名)は基本的に「おいしいよ」と言って食べてくれるタイプです。
ただ、ひとつだけやたらとこだわりが強い料理がありました。それが『グラタン』です。「エビは大きめがいいな〜」「チーズはもっとたっぷり」「ホワイトソースはもう少しコクがほしいかも」など……強くは言いませんが、食べ終わるたびにどこか納得していないような様子でした。
変えても変えても、納得しない夫
「実家で食べてたグラタンが一番好きだったんだよね〜」そのひとことも、毎回のように添えられました。私はレシピを変えてみたり、エビを少し奮発してみたり、いろいろ工夫しました。自分なりに頑張っているつもりでも、結局どこかしらに指摘が入ります。
グラタンを作るたびに「今回はどう言われるかな」と、少し身構えてしまう自分がいました。
義母のあっさりした答え
そんなある日、義実家を訪れる機会がありました。思い切って、私は義母に「亮平さん、お母さんのグラタンが大好きみたいで。何かコツってありますか?」と聞いてみました。すると義母は、一瞬きょとんとしたあと、声を出して笑ったのです。
「え!? あれ、市販のホワイトソースよ〜!」そう言って、「使ってるホワイトソース、教えるわ!」とあっさり。そのやりとりを横で聞いていた夫は、「……え?」と固まっていました。私は思わず笑ってしまって、肩の力がすっと抜けた気がしました。
「頑張りすぎなくていい」と思えた日
それ以来、夫からグラタンについて細かいコメントが出ることはなくなり、「おいしいよ」と言って食べてくれるようになりました。あの日の義母のひとことは、思い出すたびに「頑張りすぎなくてもいいんだな」と私をホッとさせてくれます。
わが家のグラタンは、義母が教えてくれた『市販のホワイトソース』が定番になりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。