私の知人の聡美(仮名)が勤めるコールセンターで、研修生のひとりが2ヶ月間の研修終了直前に離職を申し出てきました。その理由は、聡美が想像もしないものでしたが、さらに後日、意外な事実が判明したのです。今回はある派遣社員の、離職をめぐる仰天エピソードを紹介します。

恒例の焼肉ランチ

私が勤めるコールセンターは慢性的な人手不足で、定期的に採用を行っていました。ある時、中途採用の正社員2人と派遣社員4人を同時に採用。社員も派遣社員もはじめの2〜3年は業務内容に差がないため、約2か月の研修は一緒に行う計画でした。

このセンターでは、社員の入社初日に、リーダーのおごりで焼肉ランチを食べに行くのが慣例。この時も私は社員2人を誘ってランチに出かけたのです。

デビュー直前、離職の申し出

その後、研修は順調に進み、まもなくデビューというタイミングで、派遣社員のひとり、大塚さん(仮名)という女性が辞めたいと申し出てきました。派遣会社の担当者経由で理由を聞くと、「社員と派遣社員で差別をされている」とのこと。

その理由の一つが、「勤務初日、社員は焼肉ランチに誘われていたが、私たちは誘われなかった」というものでした。約2か月間も研修をしてきて、デビュー直前で初日のランチのことを言われ、私は困惑しました。他の理由もいくつかありましたが、どれも組織として仕方がないことばかり。しかも一番大きい理由は初日のランチのことだというのです。

私は配慮不足だったことを直接本人に謝りたいと告げましたが、大塚さんの気持ちは変わらず、そのまま契約終了に。結局2ヶ月の研修が無駄になってしまいました。私は自分の配慮不足を後悔していましたが、どこかモヤモヤした気持ちも残っていました。

同期が明かした意外な事実

残りの研修生5人は無事デビュー、部長が設けてくれたお祝いの会に私も参加しました。デビュー前に辞めた大塚さんの話題になった時、私は派遣社員3人に、勤務初日の配慮不足のお詫びをしました。

すると、3人は口々に、「そんなこと気にしていないですよ。社員と派遣社員は、雇用形態が違うんですから。全然大丈夫です」と言ってくれたのです。さらに、こんな話もしてくれました。

「本人から聞いたんですけど、大塚さん、はじめから長く働くつもりがなかったんじゃないですか? ここは、2か月間研修だけだから、2ヶ月で辞めるとちょうど良いかな、って言ってましたから」私は愕然としました。デビュー直前で辞めたのは偶然ではなかったのです。モヤモヤしていた原因はこれだったのかと判明しましたが、やはり釈然としない気持ちは残りました。

派遣会社からの連絡と、今後の対策

数週間後、派遣会社の担当者から連絡が入りました。「実は今回の大塚の一件を、弊社としても重く受け止めています。改めて調査したところ、過去にも、あいまいな理由での離職が複数回確認されています。今後は彼女への長期契約の紹介を制限することにしました」

それ以降、私はどの派遣会社に対しても、直近の職歴を重視することを依頼しました。特に短期間で辞めている場合は、必ず理由を確認してもらうよう依頼。私自身、人を見抜く難しさを身をもって学んだ出来事でした。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。