美容室で働く私の友人・今田さん(仮名)。予約時間に余裕を持って来店するお客さんは多いそうですが、中には大幅に早く来ては、お店で長く待つことになる人もいるのだとか。ある日、早く来たお客さんが不満を爆発させてしまい……そこに居合わせた他のお客さんの意外な一言とは!?

美容室でのいつもの光景

私は美容室で働いています。常連のお客さんも多く、私を指名して来てくれる方も増えてきました。その中のひとりが、50代くらいの相田さん(仮名)という女性のお客さんです。

相田さんは、もともと予約時間より早めに来店されるタイプでした。最初の頃は10分前、15分前くらいだったので、特に気になることはありませんでした。ただ、来店時間は少しずつ早くなっていき……その日は、ついに予約の1時間前に来店されたのです。

予約時間より早すぎる来店

店内は通常営業中で、私は他のお客さんの施術を進めていました。一度相田さんのもとへ行き「ご予約は14時ですので、もう少々お待ちください」とお伝えしました。

相田さんは最初、何も言わずに待合席に座っていました。ですが、時間が経つにつれてソワソワと落ち着かない様子になり、時計を何度も見たり、周囲を見回したりしています。

そして突然、「もう1時間近く待ってる! ここは毎回待たせるわね!」と、不満が爆発。私は内心戸惑いながら、「すみません、ご予約は14時からですので、もう少しお待ちください」と、同じ説明を繰り返しました。

そっと入った、第三者の一言

そのやり取りを、相田さんの隣で待っていた別のお客さんが聞いていました。その方は、穏やかな口調で「予約時間より早く来ると、待つことになりますよ」と、一言声をかけました。

さらに「私も早く来すぎちゃったことありますけど、“私せっかちだったな”って反省します(笑)」と笑って続けます。相田さんは一瞬言葉に詰まりました。周囲の空気もあってか、それ以上強く不満を口にすることはなく、そのまま黙って座っていました。

何事もなかったように、そしてその後

結局相田さんは予約時間まで静かに待ち、その後は何事もなかったかのように施術に入りました。施術中も特に変わった様子はありませんでした。その日以降、相田さんが予約時間より大幅に早く来店することはなくなりました。

こちらからは言いづらかったことを、自然な形で伝えてくれたあのお客さんの存在が、今でも印象に残っています。内心では、「助かったな」と思いながら、静かに感謝していた出来事でした。

【体験者:30代・女性美容師、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。