出産直後の生活と、幼稚園での立ち話
私は、第二子となる息子を出産したばかりです。第一子の娘は幼稚園に通っていて、朝夕の送迎だけはこれまで通り続いていました。産後間もない体での送迎は正直大変ですが、顔見知りのママたちと挨拶を交わす時間は息抜きでもありました。特によく顔を合わせるのが、同じクラスに息子がいる千夏さん(仮名)でした。
何度も出てくる「男の子でよかったね」
千夏さんは会うたびに「2人目男の子でよかったね〜!」「やっぱり男の子って可愛いでしょ!?」と、子どもの性別の話題を出してきました。そのたびに私は、「まだ赤ちゃんだし、性別の違いはよく分からないかな〜」「どっちも可愛いよね」と、やんわり返していました。
最初のうちは、深く気に留めていませんでした。でも、顔を合わせるたびに同じ言葉を繰り返されると、少しずつ気になるようになるものです。娘のことを思い浮かべると、どう返せばいいのか分からなくなる瞬間もありました。
別のママのひとことで変わった空気
ある日、立ち話をしているときに、同じ幼稚園に男の子を2人通わせている美貴さん(仮名)も一緒になりました。その流れで、千夏さんがいつもの調子で「やっぱり男の子が可愛いよね!」と美貴さんに話を振ります。
すると美貴さんは「男の子可愛いよね!」と一度頷いたあとで「でも私、実は第一子は女の子で、もう小学生なんだよ〜」と話しました。それを知らなかった千夏さんは、「そうなんだ……」と少し気まずそうに笑っていました。
さらに美貴さんは、「結局、みんなわが子は性別関係なく可愛いよね!」と、明るくその場を締めくくり、私は空気がすっと変わったのを感じました。
言われなくなった言葉と、残った気持ち
それ以降、千夏さんが「男の子の方が〜」といった話題を出すことはなくなりました。あの日の美貴さんの言葉のおかげだと感じています。
千夏さんの発言も、息子を可愛いと思っている気持ちの表れだったのだと思います。だからこそ、誰かを責める形ではなく、さりげなく気づかせてくれた美貴さんの存在がありがたく感じられました。性別は関係なくわが子は可愛いものだと、今の私は胸を張って言うことができます。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。