ちょっとした言葉の行き違いから思わぬトラブルを招くことがあります。取引先から届いたお歳暮のお菓子を、先に隣のチームに配ってもらったところ、たった一言の伝え方が思わぬ事態を招いてしまい……。今回は、私の知人・聡美(仮名)が体験した、職場でいただいたお歳暮のお菓子にまつわるエピソードをご紹介します。
折り合いの悪い2つのチーム
私がコールセンターに勤めていた時のこと。私は女性20人のチームのリーダーを任されていました。同じ課の中にもう一つ、同じ規模のチームがありましたが、業務内容も、スタッフの年齢層も異なる2つのチームは、なぜか以前から折り合いが悪かったのです。同じ課なのだから、もう少し仲良くできないものかと思いつつ、なかなか歩み寄れずにいました。
お菓子のお歳暮
そんなある年の暮れ、課で印刷物を発注している業者からお歳暮のお菓子が届き、私のチームの若手社員・木村さん(仮名)が受け取りました。大きな箱の中には、きれいな小箱に入ったお菓子が2つずつ透明な袋にセットされたものが24袋、全部で48個のお菓子が入っていました。課員に1個ずつ配れる分量です。
その日、私のチームは朝から電話が鳴り止まないほどの大繁忙。お菓子を配る余裕もなかったため、先に隣のチームに渡し、配ってもらうことに。木村さんが隣のチームのリーダーに、「印刷会社からのお歳暮です。先に、ひとり1つずつ取って回してください」と声をかけ、お菓子の箱を渡してきました。
そして、嵐のような繁忙が一段落した夕方、木村さんが隣のチームから戻ってきたお菓子の箱を抱え、血相を変えて私のところへ駆け寄って来たのです。
お菓子が足りない!!
箱の中には残っていたのは、たった4袋だけ。隣のチームは20人。彼女たちは「1つ」という言葉を「1袋(2個入り)」と解釈し、全員が2個ずつ持っていったようでした。
「ありえないですよね……。普通、1つと言ったらお菓子1個のことだと思いませんか? だいだいうちの課の人数を考えたらわかりますよね?」 木村さんは、困惑と怒りの混じった表情で訴えてきました。
確かに、課全体で40人ほどいることを考えれば、1人2個ずつ配れるはずがないことは簡単に想像がつくはず。 しかし、お菓子が足らないこと以上に問題なのは、ただでさえ良好とはいえない隣のチームとの仲がさらに悪化することでした。
新ルール誕生
私は隣のチームのリーダーのもとへ行き、なるべく角が立たないよう、「すみません、ひとり小箱1個ずつの計算だったので、足りなくなっちゃって。余分な分を返してもらってもいいですか?」 と声をかけました。
リーダーは気まずそうに「あ、そうだったのね。ずいぶん気前が良いと思った」 と言って、すぐに余分に取ったお菓子の回収を指示。幸い、表立ったトラブルには発展しませんでしたが、その年のお歳暮は、なんとも後味の悪さが残る結果となったのです。
それ以来、差し入れを回す際は、誰が見ても誤解のないよう「ひとり〇個ずつ」とはっきり明記することが職場の新ルールに。たかがお菓子といえども、ちょっとした誤解が職場の空気を一瞬で凍りつかせることを、身をもって学んだ出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Sachiko.G
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。