育児に積極的な夫
私の夫は、育児にとても積極的に関わるタイプです。ミルク作りも寝かしつけも、いつも言われなくても動いてくれます。その姿勢自体はありがたく、助かっていると感じる場面が多くありました。
一方で、夫は育児について自分なりに調べた“データ”や“正解”を大切にする傾向がありました。本やネットで見た情報をきちんと覚えていて、「こうした方がいい」「これはこうするべき」と、決めたことは忠実に守ろうとします。
マニュアルを優先する育児
例えばミルクついても、「3時間おきに必ず」「角度は45度で」と、調べた内容を基準にしていました。その通りにできているかを気にしている様子もありました。
日頃のお世話を主にしている私は、子どもの機嫌や眠さ、その日の体調によって様子は毎回違うと感じていました。マニュアルはもちろん参考にはなりますが、それだけではうまくいかない場面も多くあり、臨機応変に動くことも大事だと思っています。
「そのときの状況によっては、少し時間がズレても大丈夫だよ」と、夫にそれとなく伝えたこともありますが、彼の反応はあまり変わりませんでした。
友人の何気ない一言
ある日、私たち夫婦共通の友人が家に遊びに来ました。彼にも子どもがいて、育児経験は私たちより少しだけ先輩です。
3人で思い出話や育児のことについて和やかに話していたとき、時間を見て夫が「3時間経ったからミルクあげないと」と言って立ち上がりました。すると友人は自然な口調で、「今寝てるし、もう少し経ってからでもいいんじゃない?」と返しました。
さらに、「俺らも食事の時間にお腹すいてない時あるし、赤ん坊も同じだよな〜」と続けます。おそらく友人にとってはなんでもない一言だったと思います。でも夫はその言葉を聞いて、少し考え込んだ様子でした。
子どもの様子を見るようになった夫
その日をきっかけに、夫は数字や時間だけで判断する場面が減っていったように思います。ミルクの時間も、子どもの表情や眠りの深さを見てから動くことが増えました。
私が何度か伝えても変わらなかったことがこういう形で届くこともあるのだと、なんだかホッと肩の力が抜けました。今でも、夫が変わるきっかけになった友人の何気ない一言には、そっと感謝しています。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。