今回ご紹介するのは、私の仲良しなママ友のお話です。普段から何かとLINEでやり取りをしたり、グループで飲みに行くこともあるほど仲良しなのに、なぜかカラオケだけは拒否するメンバーがいて……。

仲良しママ友グループ

私には、子どもが幼稚園年少組の頃から続いている仲良しのママ友グループがあります。全員が働いているため、普段は挨拶を交わす程度ですが、LINEで相談をし合ったり、年に一度か二度は子ども抜きで飲みに行く関係。その中に、Aという大人しいママ友がいます。口数は少ないものの、グループ内では頼りにされる存在で、欠かせない仲間でした。

唯一の拒否

Aはどんなお願いにも快く応じてくれる人でしたが、ひとつだけ頑なに断ることがありました。それは“カラオケ”。どんなに誘ってもカラオケだけは絶対に首を縦に振らないA。

私たちは「もしかしてよっぽど音痴なのかな」と思いつつ、そこまで深く考えていませんでした。そんな日々が続き、気づけばあっという間に3年が経ち、卒園の日がやってきたのです。

卒園式の夜

卒園式が無事終わり、夜にいつものメンバーで居酒屋へ。大いに盛り上がり、気持ちよく酔っぱらった流れで、Aもついにカラオケに行くことを承諾したのです。「絶対に引かないでね」と念を押すAに、私たちは期待半分、心配半分でカラオケの個室に入りました。

すると、Aは誰よりも早くマイクを手に取り、自分のバッグから除菌シートを取り出して念入りに拭き始めたのです。さらにマイクだけに収まらず、テレビ画面や奥の配線まで、Aの掃除は止まりませんでした。

友情のかたち

その瞬間、私たちは理解しました。Aがカラオケを拒んでいた理由は音痴だからではなく、掃除をしたくてたまらなくなる自分を隠すためだったのだと。潔癖症というわけでもなく、なぜかカラオケの個室に入ると掃除欲求が抑えられないのだと、本人も不思議そうに打ち明けてくれました。

この出来事で友情が壊れることはなく、むしろAのユニークさを受け入れたことで絆はより深まりました。今も変わらず、私たちの交友関係は続いています。そして、ときどきカラオケにも行っています。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。