共働きで育児に追われる主婦にとって、毎日の食事作りは大きな負担です。私の知人の佐和さん(仮名)が、自称「食通」夫の食へのこだわりに我慢の限界を感じていた時、ある一言がきっかけで思わぬ展開に……。

夫と妻の食へのギャップ

私は夫の和樹(仮名)と4歳の娘の3人家族で、共働きで忙しい毎日を送っています。夫は自称「食通」で、家での食事にも細かい注文がありました。「主菜のほかに副菜は3品マスト」「ご飯は土鍋で炊いて」「味噌と糠漬けは手作りして」例をあげたらきりがないほど。

子どもが生まれるまでは、出来るだけ応えようとしていましたが、職場復帰後は時間的にも精神的にもそんな余裕はどこにもありません。平日は時間との勝負。レンチン料理や買ってきた惣菜をそのまま出す日も増えていました。

夫の不満そうな空気を感じていたので、「週末はたまに外で美味しいものを食べよう」 と提案すると、夫は、「家でゆっくり食べたい」 と言います。食事をめぐっての意見の食い違いに、私のイライラは限界に近づいていました。

娘のお願いと、意外な返事

そんなある週末、家族で遊園地に行くことになりました。昼食は園内で済ませる予定でしたが、娘が「サンドウィッチが食べたい、作って」と言い出したのです。私は半ば冗談のつもりで、夫に「たまには作ってくれない?」と頼んでみると、返事は意外にもあっさりしたものでした。

「いいよ、僕がつくるよ」

夫は前日の買い出しから自分でやると言い、当日の朝も早くから調理を始め、私が起きたときにはもう弁当箱に詰め終わっていました。

完璧すぎる出来栄え

遊園地で弁当箱を開けると、5種類のサンドウィッチがきれいに並んでいました。1つのサンドウィッチに2〜3種類の具材を組み合わせ、具材ごとにパンの種類まで使い分ける凝りよう。娘は「いつものママのよりおいしい」 と無邪気に喜び、夫は具材の組み合わせや味付けについて得意そうに話し始めました。

私はひと通り夫のうんちくを聞いてから、「すっごくおいしいね。和樹ってこんなに料理が上手だったんだね、また家でも作ってほしいな」 と、少し大げさに褒めたのです。すると夫は、「じゃあ、週末は僕が食事を作ろうか」 と、まさかの快諾。

幸せな週末

それからというもの、週末の台所は夫の聖域となりました。彼は自分のこだわりを存分に発揮できることを楽しんでいるようでした。私は、娘と遊ぶ時間を手に入れたうえに、おいしい料理が食べられるので、こんな幸せなことはありません。

ダメもとで言ってみたことが、これほどまでに私の生活を楽に変えるとは、夢にも思いませんでした。この幸せがずっと続くように、私は今日も夫の料理に最大限の賛辞を贈り続けているのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。