朝からビールを開ける夫
私の夫・雄介(仮名)は、大のお酒好き。休日は、朝起きてすぐに缶ビールを開け、まるで水を飲むようにビールを飲んでいます。結婚前からお酒好きということは知っていましたが、当時はお互い実家暮らし。まさか、朝から晩までお酒を飲んでいるとは、正直想像していなかったのです。
特に戸惑ったのは、夕食のスタイルでした。雄介は、まずは飲みながら、つまみを1品、2品ゆっくり食べ、なくなるとまた1品。最後に締めとしてご飯と味噌汁。おかずを一度に並べることを嫌がるため、食卓がいつまでも片付かないのです。
終わらない夕食に募るストレス
雄介は、家だと時間を気にせず飲めるのが良いと、延々と飲み続けます。「週末くらい、夫婦でゆっくり夕食を食べよう」と言うのですが、その「ゆっくり」のレベルが違いました。
私は早く片付けを済ませて、翌日のお弁当の準備など、やりたいことがいくらでもあります。2時間、3時間と続く夕食が、次第に大きな負担になっていったのです。
これといった趣味のない雄介にとって、お酒は数少ない楽しみ。最初は自由にさせてあげたいと思っていましたが、飲めない私にとって終わりの見えない晩酌に付き合わされる時間は、もはや苦痛でしかありませんでした。
「選んでいいよ」と伝えた夜
悩んだ末、私は無理に歩調を合わせるのをやめることにしました。私は自分のペースで食事をし、雄介には好きなように飲んでもらう。それだけのことですが、私にとっては自分の時間を取り戻すための大きな決断でした。案の定、雄介は「なんで付き合ってくれないの? 冷たいなぁ」と不満げです。
そこで私は、「ひとりでゆっくり飲むか、私と同じペースで食べるか。好きな方を選んでいいよ」そう言って、雄介に選択させる事にしたのです。彼が選んだのは「自分のペースでゆっくり飲む」でした。
合わせないことで取り戻した快適さ
それ以来、我が家の夕食は変わりました。私は自分のタイミングで食事を終え、食後の時間を有効に使う。雄介は、誰にも気を遣わずひとりで晩酌を続ける。面白いことに、つまみがなくなると自分でキッチンに立ち、手早く料理もするようになったのです。
夫婦なのに別々。一見そう見えるかもしれませんが、無理に合わせていた頃より私のストレスは確実に減り、夫婦の会話が減ることもありませんでした。
育ってきた環境が違えば、生活スタイルや心地よさの基準が違うのは当たり前。適度な距離を取ることも、夫婦生活を続けていくための現実的な選択なのだと、私は実感したのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Sachiko.G
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。