これは筆者の銀行に勤める友人から聞いた話です。友人は資産運用の個人営業で地道な努力を続け、着実に売上を伸ばしていました。そんなとき、銀行内で新しいキャリアに挑戦できる機会が到来! 新しい一歩を踏み出した友人を待ち受けていたのは……。

キャリアにモヤモヤしていた私

新卒で銀行に入行して早5年目。心のどこかで変わり映えしない日々やキャリアに行き詰まりを感じていました。「もっと新しいことを学びたい!」そんな風に感じていたのです。

そんなとき、銀行内で「法人部門で経験が積めるプロジェクトメンバー募集」が目に入りました。「これだ!」と思った私は迷わずエントリー。ところが、同じ支店の女性の先輩が3名も応募していたと知り、一気に弱気に……。「どうせ先輩が選ばれるんだろうな〜」と半ば諦めていました。

予想外のプロジェクトメンバー入り

ところが、まさかのプロジェクトメンバーに抜擢!「おめでとう! 来月からは法人営業部でがんばってね!」と周りに祝福されて舞い上がった私。どうやら上司が本部に私を強く推してくれたらしいのです。

わかりやすく急変した周囲

しかし、次の日から空気は一変。選ばれなかった先輩たちの態度が露骨に冷たくなったのです……。更衣室のロッカーにペンで大きく書かれたバツ印。あからさまな無視。笑顔で挨拶しても、まるで私はそこに存在しないかのような扱いでした。

正直とてもつらかったですが、「法人部門に異動すれば同じビル内でもフロアが変わるし、ずっと関わるわけじゃないもんね」と自分に言い聞かせ、仕事に集中することにしました。

空気を一掃したひとこと

法人部門に異動して数ヶ月後のある日、どうしてもあの先輩たちに処理を依頼しなければならないことが……。恐る恐る声をかけても、やはり完全無視。「急ぎの処理なのにどうしよう……」と立ちつくしていると、たまたま窓口にいた気品あるマダム風のお客さまが口を開きました。

「何があったかは知りませんけど、そういう女同士の嫌がらせをお客の前でするのはやめてちょうだい! 見てるこっちが気分が悪いわ〜」と先輩たちを一喝!

その日を境に、先輩たちからの嫌がらせもおさまり、挨拶も返してくれるようになりました。マダム、あのときは本当にありがとう。今でも感謝している出来事です。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。