「羨ましい」が口癖のママ友
ママ友のあゆみさん(仮名・30代女性)は、3人の子どもを育てる専業主婦でした。彼女は会話の中で、何かにつけて「羨ましいな」と口にし、自分が一番大変だという思いを強く持っているように感じられました。最初は相槌を打っていましたが、次第に違和感を覚えるようになりました。
話そうとすると、話がすり替わる
私が「この前、会社の人たちとランチしていた時に」と前置きをすると、「自由に会社の人とランチできていいな、楽しそうで羨ましい。私は3人のお世話をしながらだから」と、話はいつの間にか彼女の大変話に変わってしまいます。こちらの話は進まず、毎回冒頭でこちらの話が止まります。
見えないことにされる“働く側の悩み”
子どもの話題でも同じでした。「この前、保育園で」と話し始めると、「仕事していると子どもと離れられて自由でいいよね」と言われます。仕事上の責任や送り迎えの負担、子どもと過ごす時間が限られる葛藤など、働いているからこその悩みは、ないことのように扱われていました。
彼女の大変さも理解できる一方で、「『お互い大変』でいいのに……」とモヤっとしてしまったのも事実です。
立場が変わった瞬間に見えたもの
そんなあゆみさんも、3人目のお子さんの幼稚園入園を機に、薬局で週3日・1日4時間のパートを始めました。すると仕事を始めて1週間後、「これをフルタイムでやっている人は本当に大変だとわかった」と話してくれたのです。
立場が変わった瞬間、それまで見えなかった相手のしんどさが一気に立体化する。お互いに知らない世界があるのだから、否定したりマウントを取り合う必要はないのだと思います。
「みんなそれぞれ大変だよね」「私たち、ちゃんと頑張っていて偉いよね」と、状況や違いを越えて鼓舞し合える。そんな思いやりのある関係でいられたら、きっと毎日はもう少し生きやすくなるのではないかと感じました。
【体験者:50代・主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。