天然な夫との日常
私の夫はいわゆる“不思議ちゃん”タイプ。特に食卓や食事に関する場面では、カルチャーショックを受けることが多く、びっくりする出来事がたびたびありました。
たとえば箸や取り皿は、いつも自分の分だけを用意します。「みんなのは?」と聞くと、毎回初めて指摘されたかのように「あっ、ごめん、忘れてた……」と返ってくるのが定番でした。
大皿になると消える料理
料理を大皿で出すと、その傾向はさらに顕著になります。気に入った料理が並ぶと、「妻や子どもたちの分を残しておく」という発想がすっぽり抜け落ちてしまうようで、気づけばほとんど食べ尽くされていることも日常茶飯事。
悪気がある様子はないものの、家族として食卓を囲む感覚が少しズレているように感じていました。
忘れられないサラダ事件
そんな中で起きたのが、私の中で“サラダ事件”と呼んでいる出来事です。ある日、家族でレストランへ外食に行き、娘の好物であるシーザーサラダを注文した際、サラダが届くと、夫はいち早くトングを手に取りました。
「取り分けてくれるのか、ありがたい」と思いきや、自分の取り皿に、サラダのドレッシングのかかった部分やベーコンが乗ったところだけを集中的に入れて、すべて食べてしまったのです。
気づきとアップデート
呆然とする妻と子どもたちに向かって、「俺、味のない野菜食べるの嫌いなんだよね」と一言。それを聞いた子どもは「おいしいところが食べたかった」と泣き出してしまいました。
そこで私が、「じゃあ、他の人は味のない野菜が好きだと思ったの?」と静かに伝えると、その言葉がきっかけで夫もハッとし、ようやく状況を理解したようでした。この日を境に、夫は“大皿での配慮”を意識するようになりました。
人は、気づきを通して少しずつ考えをアップデートしていくものなのかもしれません。
【体験者:50代・主婦、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。