クリスマスはやはり特別な日。クリスマスが近づいてくるとたくさんの思い出が蘇ってきます。楽しい思い出ばかりではなく、なかには苦々しいものや笑ってしまうものも……。今回は、友人の失恋騒動をきっかけに、思いがけずゴージャスなクリスマスとなった私の実体験をご紹介します。

失恋の友人を慰めるクリスマス計画

ある年の10月のこと。学生時代からの友人・由香(仮名)が、5年間付き合っていた彼氏と破局しました。由香の落ち込みようは想像以上で、毎日のように電話がかかってきては、「もうクリスマスなんて来なければいいのに」と泣いていたのです。

「ひとりでクリスマスを過ごすのは絶対に嫌。お願いだから一緒にいて」 その必死な願いに押され、クリスマスは女友達4人で賑やかに過ごすことに決定。「夢の国で癒されたい!」という由香の希望で、クリスマスイブは東京ディズニーランド近くのホテルのスイートルームでパーティー、翌日はパークで思い切り遊ぶ計画を立てました。

完璧に進む準備

12月に入ると、私たちは本格的に準備を始めました。サンタ風のコスチュームを揃え、クリスマスケーキも予約。あとは当日、料理や飲み物を買うだけ。由香も次第に元気を取り戻し、「みんなのおかげで楽しいクリスマスになりそう」と、久しぶりに笑顔を見せるようになっていました。

全て計画どおり。何年かぶりのクリスマスパーティーに向けて、みんなの期待が高まっていたのです。

突然の電話

ところが、クリスマスイブの3日前の夜、由香から突然電話がかかってきました。「実は昨日、彼から連絡があって……やり直すことになったの」あれほど落ち込んでいた由香の、まるで別人のような明るい声。「それでね、クリスマスも彼が一緒に過ごそうって。本当に悪いけどパーティーはパスさせて」

すでにホテルはキャンセル料の対象期間。今さらキャンセルすることはできませんでした。結局、主役不在のまま、3人で予定通りクリスマスパーティーを決行することになったのです。

3人だけのゴージャスなクリスマスパーティー

スイートルームで乾杯をしながら、私たちはこれまでの由香との付き合いを振り返りました。恋愛が最優先で、彼氏ができると友人との約束が後回しになること。失恋するたびに大きく落ち込み、周囲を巻き込むところ。学生時代から、似たようなことが何度もあったことを思い出していました。

それでも、不思議と縁が切れることはなく、ここまで付き合ってきた友人であることも事実。「そういうところも含めて、由香なんだよね」最終的にはそんな形で意見が一致しました。

その後は、美味しいシャンパンと持ち込んだ料理やケーキで、3人だけのクリスマスパーティーを満喫。次の日も「夢の国」で思いっきり楽しみました。予定とは違う形になりましたが、今ではちょっと笑えるクリスマスの思い出として心に残っています。

【体験者:60代・女性会社員、回答時期:2010年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。