しっかり者のママ友に、密かに憧れ
私の友人・みなみちゃんは、美人で物静か、そしていつも穏やかな口調の女性です。育児も家事もそつなくこなしていて、周りからは「しっかりしてるよね」と評判の人でした。
対して私はおっちょこちょいで、小さな失敗ばかり。初めての育児に関しても「これで合っているのかな」と不安になることも多く、同じ母親としてみなみちゃんのことを尊敬していました。
ほめ言葉に、まさかの反応
ある日、児童館で子どもたちを遊ばせながら育児の悩みを話していたときのこと。「みなみちゃんは本当にしっかりしててすごいよ!」と私が言うと、みなみちゃんは首をブンブン横に振って必死に否定し始めました。
「本当はそんなんじゃないの! 私ね……」と、いつも静かなみなみちゃんから想像できない勢いで話し始めたのです。
ギャップがすごい! みなみちゃんの事件
「実はね、この子の1ヶ月検診が終わって病院から帰るとき、私、子どもをすっかり忘れて1人で帰っちゃったの(笑)」衝撃のエピソードに、私は思わず大爆笑。
その後みなみちゃんは、「気づいた瞬間すっごい焦ってさ! すぐに引き返して、本当に反省したよ……。看護師さんも大爆笑で和んじゃったけど、何事もなくてよかった」と、当時の慌てぶりを恥ずかしそうに語ってくれました。
しっかり者に見える彼女にも、こんな人間らしい失敗があったなんて。驚きとおかしさが同時に込み上げてきました。
完璧に見える人も、実は同じ
ずっとどこかで、勝手に壁を感じてしまっていたみなみちゃん。でも、こんな話をしてくれる彼女を見て「ああ、意外とみんな同じなのかな」と気付けたのです。
完璧に見えるお母さんだって、焦ることも、失敗することもある。そう思えたことで、私の肩の力もふっと抜け、前よりもっとみなみちゃんと仲良くなれたのでした。
【体験者:30代・接客業、回答時期:2016年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。