「料理できます」アピール
結婚前、一人暮らし歴の長かった夫は「俺、簡単な料理は作れるから大丈夫だよ!」と自信満々。結婚しても私はフルタイムで働く予定だったので、その言葉はとても心強く安心して結婚しました。
実際は、作れるけど作らない人だった
しかし結婚後、夫が料理をする姿はほぼ皆無。私が残業で夕飯が作れない時、夫がどんなに早く仕事がおわっても食卓に並ぶのはスーパーのお惣菜。「自分で作るくらいなら、どこかで買って済ます」と平然と言い放つ夫に「結婚前のあの言葉はどこに?」とモヤモヤしていました。
数年後、子どもが生まれても状況は変わらず、料理は完全に私の担当になっていました。
夫を動かした出来事
ある日の休日、私は夕飯の支度をしていました。その日のメニューはカレーライス。まずは野菜の下ごしらえから……と食材を切っていた時に事件は起こります。うっかり包丁で指をザックリ切ってしまったのです。
浅い傷でしたが血はなかなか止まらず、今日はもう包丁を握れそうにありません。調理中の食材たちを前に途方に暮れていると、ソファでくつろいでいた夫が立ち上がりました。「仕方ないなあ、あとは俺が作るから。座って休んでて」
褒めるとやる気が出るタイプ
出来上がったカレーライスを前に、私は夫を褒めたたえました。「このニンジンの切り方、最高! 火のとおりも抜群。私が作るよりめちゃくちゃおいしい!」子どもたちも私のテンションにつられ、「パパのカレーおいしい!」とベタ褒め。
お世辞だと受け流しながら、夫もまんざらではない様子。以来、ごくたまにではありますが、夕飯を夫が作ってくれるようになりました。
怪我の功名。不謹慎ではありますが、夫が料理を担当してくれるのなら、たまには指も切ってみるもんだなと思った出来事でした。……かといって、もう切りたくはありません。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。