コンビニを始め、最近は牛丼チェーン店やファストフード店など、色々なお店が夜遅くまで営業しています。夜遅くに、知っている店の看板が明るく照らされていてなんだか安心した、という経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は、脱毛サロンで働く私がお客様から聞いた、深夜営業にまつわるお話です。
元気が取り柄の大学生
私の息子は大学生で、勉強はあまり得意ではありません。ただ、元気だけは誰にも負けず、小学校から大学まで皆勤賞。その姿勢は私から見ても誇らしく、周囲からも「本当に丈夫だね」と驚かれるほどでした。
初めてのバイト
大学に入った息子は、時給が高いという理由で深夜の牛丼屋でアルバイトを開始。深夜勤務は過酷で、次々に人が辞めてしまう環境。そんな中で採用された息子は、バイトでも皆勤賞を守り抜きました。
さらに他の人のシフトまで引き受けるほど真面目に働き、社員さんともバイトの人たちともプライベートで遊ぶほどの仲に。就職活動も無事に終え、最後の勤務日には店長や仲間たちが小さなお別れ会を開いてくれました。
深夜勤務の秘密
その席で「最後だから聞くけど、心霊体験は一度もなかった?」と尋ねてきた店長。息子は「全くないですよ! 霊感なんてゼロですから!」と笑って回答。すると店長は、深夜勤務の人がすぐ辞めてしまう理由を教えてくれました。
牛丼屋の近くには心霊スポットがあり、そこで心霊体験をした人が逃げ込む場所になっているのだとか。中には幽霊を連れて来店する客もいたそうですが、息子は気付くことなく、いつも大きな声で「いらっしゃいませ! 空いてるお席にどうぞ!」と接客。その元気な声が、もしかすると除霊の役割を果たしていたのかもしれないと店長は真剣な顔で語ったのです。
息子の持つ力
かつて近くのコンビニも同じように心霊スポット帰りの人々が逃げ込む場所となり、アルバイトが次々に辞めて閉店してしまったと続けて語る店長。店長は息子が辞めた後の牛丼屋を心配していました。
すると息子は「じゃあ俺、時々夜中に食べに来ますね!」と約束し、実際に定期的に通っています。そのおかげか怪奇現象は減り、深夜のバイトも増えてきたとのこと。
私は「息子は元気しか取り柄がない」と思っていましたが、実はその元気こそが人を守り、場を明るくする大きな力だったのかもしれません。
【体験者:60代・主婦、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。