人がいなくなった閉店後のショッピングフロアには、独特の静けさがあります。今回は、私の友人であり、アパレル店員のYちゃんが実際に体験した、震えるほど怖い「信じられない来客」のお話です。

薄暗いフロアに一人残された夜

私は、アパレル店員として働いています。この日はディスプレイ替えや書類作業などが重なり、閉店後も一人で残業をすることになりました。同じフロアの他の店舗スタッフはすでに帰ってしまい、周囲は電気が消されて薄暗く、広いフロアには私だけ。静かなはずなのに、なぜか空気がざわつくような落ち着かない雰囲気を感じていました。

耳元に突然聞こえた「だーれだ」

床に道具や什器を置きながら作業をしていて、ふとしゃがんだ瞬間でした。突然、真後ろで笑い声とともに、はっきりと耳元で「だーれだ」と声が聞こえたのです。その声は、男でも女でも子どもでもない、不気味なほど中性的な声。

私は瞬間的に「これは人間の声ではない」と感じ、振り返ることもできず、とにかく荷物だけ掴んで什器も道具も置きっぱなしで走って帰りました。

翌日判明した、もう1つの怪現象

次の日、恐怖で震えながら昨日の出来事をスタッフに話すと、「実は私も最近、閉店作業中におかしいなって思ってたことがあって……」と驚きの告白が。

掃除したはずの床に、商品が点々と不自然に落ちていたり、入金のためバックルームへ行って戻ると、ペン立てごと床に落ちていたりなど、説明のつかない現象が続いていたそうです。私と同僚は「もしかして……」と顔を見合わせ、その場で絶叫してしまいました。

声の主は、存在を知らせたかったのか

さらに驚くことに、その怪現象が起きていた時間は、私が「だーれだ」と声を聞いたのと同じ22時すぎ。誰もいないはずのフロアに何者かがいて、「気づいてほしい」と近づいてきたのかもしれません。一体、あの声の主は誰だったのでしょうか……。謎は未だ解けないままです。

【体験者:20代・女性販売員、回答時期:2018年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。