これは筆者の友人の話です。未経験から思いきって憧れのエステ業界に飛び込み、「いつかは自宅サロンを開きたい!」とキラキラした目で語っていた友人。そんな夢に向かって努力を続けていたある日、予想外のちょっと困った出来事に遭遇することに……。

食べても大丈夫な成分で作られたクレジング

私の働くエステ店では、自然派由来で肌にやさしい美容商品を数多く扱っています。中でも最近のイチオシは、“食べても大丈夫な成分だけで作られたクレンジング”です。

安全性の高さをアピールするためにトークスクリプト(お客さま対応の台本)まで配られ、私たちスタッフは接客の練習を重ね、万全の状態でお客様に提案していました。そのおかげで私も順調にクレンジングの売り上げを伸ばしていたのですが……。

あともう一押し!

ある日、ひとりのお客様が“食べられるほど安全”というポイントに強く興味を示したのです。「え〜すごい! 食べても平気なんだ! あーでも……だから開封後2ヶ月以内に使い切らなきゃいけないんですねぇ」興味はあるけど購入まではもうひと押し、という様子。そこで私はトークスクリプト通りに説明を続け、背中を押そうとしました。

まさかのお願い

……そのときです。「じゃあそんなに安全なら、ちょっと食べてみてくれませんか? 味が気になります~!」と、満面の笑顔でまさかのお願い!

「いや、たしかに食べても安全とは書いてあるけれど……実際にクレンジングを食べたことはないよ~」と私は内心、お客様からの突然の無茶ぶりに動揺。

トークスプリクトに問題あり

やんわりお断りしたものの、お客様はなかなか引き下がらず、ついに私は観念して一一ペロッ! と一口。「うっ……マズッ。そりゃそうだよね。おいしいわけがない……!」罰ゲームのような気分になったものの、お客様は満足されたのかその場で1本購入して帰宅されました。

その後、この話を同僚にしたところ「え、それ私も言われた!」「実は私も味見させられそうになった!」と、どうやら“あるある事件”だったようです。

安全性をアピールするつもりだったトークスクリプトが、なぜかスタッフを味見係に追い込む展開に……。さすがに“問題あり”ということで、後日トークスクリプトの内容はしっかり変更されました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2022年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。