クリスマス。それは年に一度の特別な行事。幼い子どもにとっては、サンタクロースからのプレゼントをワクワクしながら選ぶイベントでもあります。しかし、無邪気さゆえのリクエストは、時に無理難題も。筆者自身のクリスマスエピソードを紹介します。

サンタに憧れるお年頃

息子が3歳だったころの体験談です。1か月後に控えたクリスマス、息子は「サンタさんに、なにおねがいしようかな?」と、おもちゃカタログを何度も繰り返し眺める日々を過ごしていました。

熟考を重ね、ついに決まったリクエスト。それは、全く予想がつかないものだったのです。「ぼくね、クリスマスはサンタさんがほしい」

予想を裏切るリクエスト

微笑ましく思っていた私の内心は一変。詳しく話を聞こうとしますが、3歳ゆえに説明はナシ。さりげなく他の案も出してみますが、息子の意思は揺らぎません。この瞬間、「サンタをプレゼントする」ミッションが確定しました。

正解を求め、さまよう日々

スマホの画面をにらみつつ、必死に情報収集をするもベストアンサーは得られず。夫婦で話し合い、「サンタに変装する案」を検討しますが、親が演じればバレて夢を壊す可能性大。クリスマスだからこそ、知人に頼むのも気が引けてしまいました。

サンタ役探し & サンタからのプレゼント選びは難航します。楽しいはずの準備が、親にとっては試練でしかなくなった日々でした。

最終的にどうにかなった

最終手段として、遠方に住んでいる祖父に頼み込んでサンタ役をしてもらうことに。祖父が「かわいい孫のためならば」と、快く引き受けてくれたことが幸いでした。

当日、「裏声で話してね」とお願いしていたのに、設定を忘れ地声で話し始めてヒヤヒヤ。ですが、息子は興奮しすぎて気にならなかったようです。

子どもの自由な発想は、時に困難を引き起こす

この日は、息子にとっては「忘れられない素敵なクリスマス」、親にとっては「達成感より、ぐったり感が勝ったクリスマス」として思い出に刻み込まれました。この出来事以降、息子からのリクエストは「売っているもの」になるよう、慎重に誘導しています……。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2020年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。