優秀だけど厄介? フロアを張り詰めさせる男
職場には、営業成績こそ優秀ですが、態度が横柄な先輩・横山さん(仮名)がいました。打ち合わせ中に部下の発言を遮ったり、質問には「そんなことも分からないの?」と投げやりに返すことが多く、フロアの空気はいつもどこか張り詰めていました。
フロアが凍った……
ある日、私が書類の記入をミスしてしまったときのこと。横山さんは瞬時に激怒し、フロアに響き渡る大声で「そんな仕事で給料もらえると思ってるの?」と怒鳴りつけてきました。その声と圧に、フロア全体が一瞬で凍りつき、周囲の社員たちは息をのんで硬直。
普段から横山さんの横柄な態度が積み重なっていたため、その場の緊張感はまるで張り詰めた糸のようにピーンと張り詰め、空気が重く、時間が止まったかのように感じられました。社員の誰もが視線を合わせられず、ただその瞬間を耐えるしかない、そんな異様な緊張感に包まれていました。
強気の同僚、ついに大ピンチに陥る
しかし数日後、状況は一変。横山さんが担当していた顧客から、「態度が横柄」「こちらの話を聞いてくれない」と深刻なクレームが入り、進んでいた契約が白紙に戻ってしまったのです。もともと営業成績が良かっただけに、社内にも驚きが広がりました。
上司は事態を重く受け止め、横山さんを呼び出して厳重注意。普段は強気で周囲を圧倒していた横山さんも、この時ばかりは返す言葉もなく、しょんぼりと肩を落として席に戻っていきました。その姿に、これまで積み重ねてきた横柄な態度がついに自分に返ってきたことを、誰もが静かに感じ取っていました。
まさかの大逆転! 誠実な対応が契約を呼び戻した
そして、この顧客を引き継いだのが、ほかでもない私だったのです。顧客の希望や不安を一つひとつ丁寧に聞き取り、進捗もこまめに報告しながら誠実に対応しました。
その結果、顧客からは「あなたには安心して任せられる」と信頼の言葉をもらい、契約も無事に成立。誠実な向き合いは相手に伝わるということを実感する出来事となりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。