“ママ友”と聞くとどんな印象がありますか? プラスな印象、マイナスな印象、それぞれあるかと思いますが、トラブルやマウントなどマイナスな印象を持たれる方も多いのではないでしょうか。私もそう思っていて、ママ友とは距離を置いていたのですが……ママ友にまつわる実体験を紹介します。
子どもへの申し訳なさ
数週間、原因不明の体調不良が続いていました。熱は下がらず、関節も喉も痛く、解熱剤を飲みながらなんとか幼稚園の長男を送り迎えする日々。長女は小学生なので自分で登下校できますが、夫は長期出張中。両親も遠方に住んでいて頼れず。
あまりに辛い日は長男を休ませることもありましたが、クリスマス会の練習に参加できないことを心配する息子の姿を見ると、自分の都合で欠席させることに申し訳なさが募りました。
行政の現実
藁にもすがる思いで行政に相談してみましたが、ファミリーサポートは事前登録が必要で、発熱者はそもそも施設に入れないとのこと。育児ができないなら一時里親制度を使うしかないと言われ、言葉を失いました。
ベビーシッターもこの地域は利用エリア外。引っ越してきたばかりでママ友もおらず、完全に孤立状態。そんなとき、スマホに一通のLINE通知が。それは存在すら忘れていた息子の幼稚園のママさんグループでした。
勇気を出して
私は思い切って、初めて自分から投稿しました。「体調不良で送り迎えができる方、もしくはそういったサービスをご存じの方はいませんか」と。送信後、既読はつくものの返信はなく、半日が経過。
熱でぼんやりした頭の中で、「親が体調不良なら息子も心配されて、いじめられたりしないかな」と不安が膨らみ、送信取り消しもできずに後悔していたその夜、23時過ぎに返信がありました。「全員の予定を聞いて調整していたので遅くなってごめんなさい!」と、2週間分の送迎予定表が添えられていました。
朝担当、お迎え担当、希望があれば公園で遊ばせてから送ることも可能ですといったメモまで。チャイルドシートの確認や、ペットの有無とアレルギーへの配慮まで細かく記載されていて、私は涙が止まりませんでした。
心からの感謝
息子の幼稚園はできたばかりで、まだバスもなく、車送迎のみ。渋滞を避けるため、親は車から降りることを禁止されていて、ママ友との交流もほぼありません。そんな環境の中で、私の投稿に対してここまでの優しさを返してくれたことに、ただただ感動しました。
息子は毎日元気に登下校しています。私はまだ本調子ではありませんが、体調が完全に回復したら、あのLINEに返信してくれた皆さんに、直接大きな声で「ありがとう」を伝えたい。
“ママ友”と聞くとなんとなくネガティブなイメージを持っていた私ですが、完全なる偏見でした。同じ“ママ”だからこそ、分かり合えるものもあるのだと、感じた出来事です。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。