友人Mさんから聞いたエピソードを紹介します。出産を目前に控えていた彼女は、夫を一番頼りにしていました。しかし、いよいよ出産という大一番で、夫は頼りになるどころか気持ちを乱す厄介者に。その理由とは……?

目前に迫る出産

私が第一子を妊娠していたときのことです。出産予定日まではあと10日。もう、いつ生まれてもおかしくない時期に入っていました。

晩酌が生きがいの夫も、このときばかりは「無事に生まれるまでは、しばらくお酒はやめておくね!」と、高らかに禁酒宣言。里帰り出産をしない私にとって、一番頼りにしたいのは夫です。もしものとき、そばにいてくれる存在を心強く感じていました。

出産は突然に

それから数日後の夜、事件は起こりました。入浴後に、突然の違和感。下半身がびしゃびしゃに濡れたような感覚におそわれ、「破水」の2文字が頭をよぎります。私は慌てて別室にいた夫に、大声で叫びました。

「破水した! 赤ちゃん生まれる! 産院に電話するからすぐ車出して!」夫は慌てて駆け寄ってくるなり、非常に気まずそうな表情でこう言いました。「あの……本当にごめん。実は今、ビールを1本……飲みました……」

まさかの戦力外

夫は「生まれる気配もないし、まだ大丈夫だろう」と高をくくり、こっそり一杯飲んでいたようです。あの禁酒宣言は何だったのか。怒りがこみあげてきましたが、正直それどころではありません。

結局、私は事前に登録しておいた陣痛タクシーで産院まで向かいました。怒りがおさまらず、顔を見るのも嫌気がさしたため、夫には分娩室の外で待機してもらうことに。助産師や医師の方々に見守られながら、無事に出産を終えることができました。

こってり絞られた夫

それぞれの母親に一部始終を報告し、こってり絞られた夫。これがかなり効いたようで、2人目の出産のときは、予定日の3か月前からノンアルコールビールで身体を慣らすことに。

今でこそ笑い話ですが、あのときほど「夫を力いっぱい殴りたい」と思ったことはありません。お産の恨みは、今後の家族サービスでつぐなってもらおうと思います。

【体験者:20代・主婦、回答時期:2024年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています

EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中