お弁当やお惣菜を購入したときの「お箸は何膳ご利用ですか?」「〇膳お願いします」というやり取りは、だれもが経験があると思います。そんな会話に、いつもと違う返答が来たら、どう対応しますか? これは脱毛サロンで働く私の、お客様の実体験です。

1人で買い出しへ

大学の友人5人でBBQに出かけた日のこと。車で目的地へ向かう途中、スーパーに立ち寄りました。ところが、車内では3人が爆睡、もう1人はずっと運転してくれていたため、買い出しは私1人で行くことに。5人分の食材を自分だけで持てるか少し不安でしたが、みんなのためにと気合いを入れて店内へ。

割りばしを頼んだだけなのに

必要なものをカゴに入れ、レジで会計を済ませようとした時です。「割り箸いただけますか?」と店員さんに声をかけると、「何膳? 人数分だよ」と言われたので、「5膳お願いします」と返答。

すると突然、「人数分って意味わかる!? アンタ1人だろうが! 箸だってボランティアで配ってるんじゃねえんだよ! そんなに欲しけりゃ買いな!」と怒鳴られ、頭が真っ白に。まさかこんな展開になるとは思わず、震えながら「お箸いりません」と伝えると、「え!? 聞こえない!」とさらに声を荒げられてしまいました。

思わぬ助け舟

そのとき、後ろに並んでいたお客さんが「さっき割り箸買おうとしたんですけど、売り切れてましたよ」と声をかけてくれたのです。さらに別の従業員が「店長、割り箸の在庫ってどこですか?」と尋ねたことで、レジ担当が店長であることが判明。

そこへ友人たちも「遅いから何かあったのかと思って来ちゃったよ~」と合流。店長は無言で割り箸を袋にたくさん入れると、気まずそうに店の奥へ消えていきました。

人の感情の背景

代わりに現れた、奥さんと思われる副店長の女性が平謝り。「今朝、娘が初めて朝帰りをして……店長、ずっと機嫌が悪くて」と事情を話してくれました。私と同じくらいの年齢の娘さんだそうで、つい感情が爆発してしまったよう。申し訳なさそうに、たくさんの新鮮な野菜をサービスしてくれました。

急に怒鳴られたことは怖かったし、理不尽な体験ではありましたが、人の怒りの裏には何かしらの理由があるのだな、と思うと不思議と店長への色々な感情が凪のように落ち着いていったのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。