私がホテルで働いていた頃、あるイベント会場で料金を払わずに会場に入ろうとする男性客に注意をすると、まさかの暴言が返ってきました。そしてその後、予想外の展開が……。印象に残った年の差カップルのエピソードをご紹介します。

受付を素通りしようとした男性客

私が宿泊客向けのイベントを担当していた時のこと、開催中は会場で運営状況を見守るのも私の役目でした。入場料は1人500円。会場入口に設置した受付でお支払いいただき、入場するスタイルでした。

ある日の夕方、50代くらいの男性が、若い女性と腕を組んで現れました。受付には数名のお客様が並んでいましたが、男性はそれを横目に、受付を素通りして中へ入ろうとしたのです。

まさかの暴言

「受付はお済みでしょうか?」私は慌てて声をかけました。男性は振り返り、「なんだって」と不機嫌そうに言いました。私は、「恐れ入りますが、受付がお済でなければ、あちらの列にお並びいただけますか?」と続けました。

すると男性は威圧するような大きな声で、「しっかりしてんな。これだから女は嫌なんだよ」と言ったのです。並んでいたお客様たちの視線が、一斉にこちらへ向かったのを感じました。

意外な助っ人

「女性も男性も関係ないのに」と心の中でつぶやきながら、私は努めて笑顔で「受付にて入場料のお支払いをお願いしております」と付け加えました。

その時でした。同伴の若い女性が、男性の腕をスッと離し、「そんなことでずるしないでよ。かっこ悪いじゃない。それに、『女は』とかって言うのもおかしいでしょ」と、はっきりした口調で言ったのです。男性の顔から、みるみるうちに勢いが消えていきました。

女性蔑視に効いたのは女性の一言

男性はバツの悪そうな表情で受付へ向かい、一部始終を見ていた人達の列に並び、2名分の1,000円を払って催事会場に入っていきました。会場の入口ですれ違いざま、若い女性と目が合いました。彼女は私に向かってペコっとお辞儀をしてくれ、私も深く頭を下げました。

「これだから女は……」と横柄な発言をしていた男性が、女性の一言にあっさり従うなんてーー。私は心の中で彼女に拍手喝采を送りました。

【体験者:60代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。