金融機関に勤めていた頃、別部署の同期・谷山さん(仮名・20代女性)から聞いた話です。「絶対に怒らない」と評判の課長が、ある場面で大声を出した“伝説の朝”。原因は仕事でもトラブルではなく……。

評判の優しい課長

私の部署には、いつも穏やかで声を荒げたことのない課長がいました。40代の長身・細身の男性で、冷たいわけではなく、相談にはちゃんと乗ってくれる「優しい人」。社内でも「いい人」「怒らない人」として有名な存在でした。

みんなを悩ませていた原田さん

一方で、部署内には原田さん(仮名・50代男性)という、みんなを悩ませる存在がいました。仕事をお願いしても期限を守らない、昼休みは毎回15分オーバー、1日に何度もタバコ休憩で行方不明……。「ちょっとはやる気出してくれ~!」と全員が思っていました。

ところがある朝、原田さんが突然、真剣な顔つきでPCに向かい、資料をプリントしてはファイリングしている。周囲は「ついにやる気に?」「改心した!?」とザワつきました。

課長が叫んだ、伝説のひと言

そんな中、課長がコピー機へ印刷物を取りに行きました。そこで見てしまったんです。原田さんが作っていた“衝撃の資料”を。次の瞬間、オフィスに響いたのは、あの優しい課長の叫び声でした。

「原田君! キノコについて一生懸命調べてる場合じゃないでしょう!!」一瞬の静寂。そのあと全員、笑いをこらえるのに腹筋が崩壊。「キノコ……?」「あの課長が怒った……!」という二重の衝撃。

キノコ事件が残したもの

後から聞くと、原田さんは週末に登山へ行き、山で“キノコ採り”をする予定だったらしく、仕事中に全力でキノコの種類を研究していたのでした。さすがに本人も反省したらしく、あの日以降はタバコ休憩の回数がちゃんと減ったとか。

“キノコ事件”は今でも語り継がれる笑い話ですが、「優しさの中にも言うべき時は言う」ってこういうことなんだろうなと思える、ちょっとスカッとした出来事です。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2015年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。