これは筆者の友人から聞いたエピソードです。友人が小さい頃から可愛がっていたミニチュアダックスフンドのななちゃん。楽しいときも悲しいときも、そばにいてくれた大切な家族の一員でした。今回は、そんなななちゃんとの不思議なエピソードです。

クールだったななちゃん

我が家には、私が8歳のときにやってきたミニチュアダックスフンドのななちゃんがいました。ななちゃんの性格を一言でいうと、どこかクールで気品のある子。「飼い主と常に一緒にいたい」というよりは、「自分の時間も大切よね」という軸を持つタイプでした。

そんなななちゃんは、基本的に寝るときは1人を好み、リビングにある自分専用のお気に入りクッションで毎晩スヤスヤと眠っていました。

辛いときは、いつも添い寝してくれる

しかし、家族の誰かが落ち込んでいるときや体調を崩したときなど、辛そうにしているとピョンとベッドに飛び乗ってきて添い寝してくれる優しい子でした。そして、15年をともに過ごしたななちゃんは家族に見守られながら天国に旅立ち、あれから何年もの月日が流れました。

徐々にななちゃんを思い出すことも少なくなっていき、私は社会人として、毎日目の前の仕事をこなすことでいっぱいいっぱい。社会人4年目になった頃からは社内の人間関係や仕事内容に悩みを抱えるように……。

この匂いは……

ちょっとしたミスでも悲観的になったり、社内の人間関係に疲れてふと涙がこぼれたり……。泣きながら眠る日が増えていきました。そんなある夜、ベッドに何か飛び乗ってきたような重みを感じ、「ん? なにこの感覚?」と振り返ると、ななちゃんの匂いがフワッとするのです。

「ななちゃん!? 心配して来てくれたの?」そう言葉にしたかったものの、睡魔に勝てず、私はそのまま夢の中に一一。

次の日の朝

「あれは夢だったのかな」と目を擦りながらリビングへ向かうと、ななちゃんが昔よく遊んでいたおもちゃが2つコロンと無造作に転がっています。「ななちゃんの写真の横に飾ってあったおもちゃが、なんでここに!?」その光景に「やっぱり夢じゃなくて、心配して本当に来てくれたのかも」と、ななちゃんの優しさで胸がじんわり温かくなりました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。