皆さんの近所には、事故が起こりやすい場所や道はありませんか? 見通しが悪かったり、暗かったりと事故の原因は様々あると思いますが、意外なことが事故を減らしてくれることも……。今回は、友人のYさんから聞いた体験談を紹介します。

みんなが恐れる「魔の十字路」

会社のすぐそばにある十字路では、昔から交通事故が絶えません。1年に2〜3回程度は事故が発生するため、近所では「魔の十字路」と呼ばれています。今まで見てきた中では、命に関わる事故は起きていないことが不幸中の幸いです。

車1台がやっと通れるくらいの道幅に、すぐ横はガードレールのない用水路。民家も建ち並んでいて見通しが悪く、極めつけは「止まれ」のわかりにくさ。うっかり見逃すドライバーが後を絶たず、そのことも事故につながっているようです。

小さなお地蔵さんと目が合う

ある朝、始業前に外を掃除していると、十字路の近くに1体のお地蔵さんを見つけました。小さめサイズのお地蔵さんは、長年、誰も手入れをしていないような雰囲気で薄汚れています。

お地蔵さんを見た途端、私は「なんとかしなければ」という思いに駆られました。自分とは無関係なはずなのに、まるで不思議な力に引き寄せられるように、放っておけませんでした。

布できれいに拭き上げ、わずかながらお供え物も添えてみることに。その後は会社のスタッフと協力して、月に1回ほど手入れを行うようになりました。

頻発していた事故が、ぴたりと止まる

お地蔵さんの手入れを始めて早2年。不思議なことに、一度も事故が起きていません。交通事故とお地蔵さんの関係は偶然なのか、それとも必然なのか。不思議な現象に、どうしても説明がつきません。

お地蔵さんの力?

近所の人の話によると、このお地蔵さんは、遠い昔に交通事故でお亡くなりになった方を供養するためのものなのだとか。「もしかしたら、あのお地蔵さんが十字路を守ってくれているのかもしれないね」同僚とそんな会話を交わしながら、私はあの十字路を通るたび、そっと手を合わせます。

お地蔵さんの微笑みを見るたび「やっぱり必然だったのかもしれない」と思わずにはいられません。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2022年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。