職場には、なにをしてもなぜか周囲に愛されてしまうキャラクターの人が、ひとりはいますよね。
今回は、筆者が出版社で働いていた頃に出会った上司、大村さん(仮名)の思わずクスッと笑ってしまうどうしようもないエピソードを紹介します。

営業部のムードメーカー、大村さんの魅力

営業部には、大村さんという上司がいました。営業成績はまずまずですが、社内ではちょっとした小ネタの宝庫で、みんなに愛される存在。いつも明るく、天然でちょっと抜けた発言をするため、会議中でも同僚が思わず吹き出すこともしばしば。

細かい気遣いも忘れず、資料を誰かに手渡すときには必ず一言添えたり、困っている同僚に声をかけたりと、人柄の良さが滲み出ていました。そんな大村さんの天真爛漫さは、営業部の雰囲気を和ませる「潤滑油」のような存在でした。

大村さんの帰り道ルーティン

しかし、そんな大村さんの困った一面が、社用車での外回りに現れました。仕事中はきちんと業務をこなすのですが、帰社が近づくと急に「寄り道」が増える。コンビニで飲み物やお菓子を買ったり、カフェで軽く休憩したりと、仕事そっちのけでちょっとした楽しみを満喫しているようでした。

予想外すぎる寄り道

そして、ある日、さらに驚くべき事実が発覚します。なんと、大村さんは日帰り温泉にまで社用車で寄っていたのです。車の中にはお風呂セットまで常備されており、まるで1日の締めくくりに自分だけの「小旅行」を楽しむかのような行動。

さすがに業務効率や社用車の管理を考えると問題ですが、大村さんの屈託のない笑顔と無邪気な様子を目の当たりにすると、同僚たちはつい笑いながらも「まあ、大村さんらしいか」と思ってしまうのでした。

社用車禁止でも愛されキャラは健在

結局、この一連の出来事を受けて、大村さんはしばらく社用車使用禁止に。しかし、大村さんらしい笑いと和みをもたらす日常のひとコマとして、社内での思い出話のひとつに残っています。

ちょっと困った行動でも、周囲に笑顔を届ける彼の人柄があったからこそ、事件は憎まれることなく温かい笑い話になったのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。