今回は、男性中心の業界で、女性営業として初めて外回りを任された私の実体験をご紹介します。“女性だから無理”という偏見や不信感に苦しみながら、懸命に頑張っていたら日々は今でも忘れられません。

男社会に飛び込んだ第1号

営業部署で働いていた頃のことです。ちょうど「女性の活躍推進」という言葉が盛んに使われ始めた時期で、私は部署内で初めて外回り営業を任された女性でした。

業界自体がいわゆる男社会で、競合他社の社員も取引先の担当者もほとんどが男性。訪問先では「え、女性が担当なの?」と驚かれることも少なくなく、正直なところ最初は肩身が狭い思いをしていました。

信頼されない苦しさ

男性の先輩から引き継いだ客先では「営業できるの?」と疑われたり、「すぐ結婚して辞めるんじゃないの?」と冗談まじりに言われたりと、なかなか信頼を得られませんでした。野球やギャンブル、車の話などにもついていけず、会話の輪に入るのも一苦労。話題を広げようと努力しても、相手の心には目に見えない壁がありました。

それでも「結果で見返すしかない」と自分に言い聞かせ、日々の業務に全力を尽くしました。

地道な努力で築いた信頼

毎週客先に通い、資料や事務作業のサポートを欠かさず行い、小さな約束を必ず守りました。要望があればすぐに対応し、業務上は直接関わらない社員さん方にも積極的に声をかけ、名前で呼ぶように。そんな積み重ねの中で、少しずつ「この人に任せれば安心」と思ってもらえるようになりました。

ある日、担当先の方から「君が来ると仕事がスムーズに進む。グループ会社の方も担当をお願いしたい」と言われた時は、長い努力が報われた気がして胸が熱くなりました。

壁を超えた先に見えた景色

その一言をきっかけに相手との会話も自然に弾むようになり、冗談や趣味の話も交わせる関係に。営業提案にも前向きに耳を傾けてもらえるようになり、「女性だから無理」と言われることはなくなりました。

結果として、性別を理由に疑われることのない、本当の意味での信頼関係を築けたのです。あの経験を通して、誠実さと継続の力こそが偏見を超えるのだという自信にも繋がりました。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2015年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。