筆者の友人・沙織さん(仮名)は、子どもが保育園に入園したのを機に職場復帰しました。しかし子どもは頻繁に体調を崩し、保育園からの呼び出しが続きます。肩身の狭さを感じながら働くなか、先輩の一言に深く傷ついてしまい……。

子どもが1歳、保育園入園とともに職場復帰

出産前、調剤薬局で薬剤師をしていた私は、子どもが1歳になったタイミングで仕事に復帰しました。保育園に預けられるようになった安心感はありましたが、一方で不安も……。

薬局はスタッフが限られていて、一人でも欠けると業務が滞ってしまう職場です。そんな中で子どもの体調不良が続いたらどうしようと、復帰前から心配していました。

相次ぐ呼び出しに肩身が狭くなる日々

その不安は的中し、保育園に通い始めた子どもは、毎週のように熱を出しました。仕事中に保育園から電話がかかるたびに胸がざわつき、肩身が狭い思いで早退のお願いをしました。もちろん子どもを優先せざるを得ませんが、同僚に負担をかけてしまうのは本当に申し訳なく、心苦しい日々でした。

先輩の一言にグサリと傷ついた瞬間

ある日、保育園からの呼び出しでまた早退をお願いしたときのことです。50代の先輩薬剤師・杉野さん(仮名)に、「そんなにしょっちゅう体調崩すもの? 私の子どもは年に数回しか熱出さなかったけどね」と言われてしまいました。

悪気はなかったのかもしれませんが、その言葉は私の胸にグサリと突き刺さりました。自分のせいで職場に迷惑をかけている罪悪感が、さらに膨らんでしまったのです。

笑い混じりのフォローに救われた

そのとき、別の同僚がすかさずフォローしてくれました。「保育園に入ったばかりの子って、免疫がつくまでしょっちゅう体調崩すものですよ。私なんて毎週病院通って、“また来たの?”って言われるくらいでしたよ」と明るく笑ってくれたのです。さらに「“年に数回しか熱を出さなかった”なんて、逆に奇跡のエピソードですね」と冗談めかして言ってくれて、思わず私も笑ってしまいました。

その場の空気は和らぎ、杉野さんも「そうなのね〜」と納得してくれました。私は「理解してくれる人がいる」ということに本当に救われ、心が少し軽くなったのを覚えています。

子どもが理由で休んでしまうことはこれからもあると思います。もちろんその分、出勤しているときにはしっかり働いて、仲間に恩返しをしたい。そして、今回フォローしてもらったように、私もいつか誰かを支えられる人になりたいと思っています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。