皆さんは“お参り代行”をご存知でしょうか。お参り代行とは、依頼者に代わって神社やお寺に出向き、お願いごとを祈願するサービスのこと。今回は、脱毛サロンで働く私のお客様に聞いたエピソードを紹介します。
趣味から始まったお参り代行
私は昔からお寺にお参りするのが大好きです。ある日、友人に誘われて「お参り代行」を始めることにしました。
お参り代行は、主にネット経由で依頼を受ける仕組みなのですが、私はパソコンをはじめとする機械が大の苦手。娘に教わりながら少しずつ慣れていきました。
始めて知った依頼の多さ
今までは家族の健康祈願ばかりしていたのですが、代行を始めてからは恋愛成就の依頼が大半を占めていることに驚きました。
ついでと言ってはなんですが、娘の縁結びもお願いするようになりました。その後も依頼は順調に増えていき、気づけば毎週のように様々なお寺に足を運ぶことに……。
偶然の出会い
そんなある日のお参りの帰り道、ぎっくり腰で動けなくなってしまいました。
しかし、偶然ランニング中だった一人の男性がそこに通りかかり、助けてくれたのです。その男性は医学療法士をしている方で、適切な応急処置を施し、車で私の家まで二時間ほどかけて送り届けてくれました。
ところが帰宅後、男性が家の鍵を私の家の玄関に落としたことが判明。
私は寝たきりだった為、娘が駅まで忘れ物の鍵を届けに行きました。そしてなんと、それがきっかけで二人の交流が始まったのです。
ご利益?それとも……
その後、娘と男性は交際をスタートし、ついに結婚が決まりました。この春には孫も誕生予定です。二人の出会いは偶然の積み重ねのような、まるでご縁に導かれたかのように感じます。
もしお参り代行を始めなければ、恋愛祈願をすることなく、ランニング中の彼に会わなかったかもしれません。もし彼が忘れ物をしなければ、娘と関わりを持つこともなかったでしょう。
お参り代行が直接のご利益だったかは分かりませんが、願いを込め続けることで、不思議と道が開けることもあるのかもしれません。
祈りと人との出会いが結びついた、温かなエピソードでした。
【体験者:60代・女性・自営業、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。