私が大学生の頃に留学先で出会った、中国出身の友人ジェームズ(仮名・10代男性)は、裕福な家庭に育ちながらも人懐っこくあたたかい人柄。彼の振る舞いは、時に私たちをびっくりさせて……!?

驚きの買い物

留学中に仲良くしてくれたジェームズは、実業家のご両親を持つ裕福な家庭に育った男性。一緒に過ごす時間が増えると、驚かされるような場面に次々と遭遇しました。

ある日スーパーで「食べたいものある?」と聞かれ、私が軽い気持ちで「スイカかな」と答えると、彼は迷わず果物売り場へ。巨大スイカを8個も持って戻ってきて、周囲は大笑い。
「え、たくさんあればみんな食べるでしょ?」と本人は不思議そうでしたが、この人は他人になにかを与えることに躊躇がないんだなと感心しました。

太っ腹なごちそう

また、友人たち10人で中華料理店に行ったときのこと。カジュアルに誘われたので軽い気持ちで行ったらとても煌びやかなお店。料理もコースで、「1人分はいくらだろう……」と不安になっていたら「僕が払うし気にしないで!」とジェームズが一言。

申し訳なくて何度も断りましたが、「僕がどうしても中華が食べたかっただけだし気にしないでね」と10人分を笑顔で支払ってくれました。後日調べたところ、その日のコースは1人5万円。高額な支払いの後も、何事もなかったかのように過ごす彼にも驚かされました。

唯一の苦手分野

そんな彼にも「弱点」がありました。それは、自転車です。
実家では専属ドライバーが付き、留学中もお父様からポルシェを贈られたため、自転車に乗った経験がなかったのです。

そのことをジェームズは自虐混じりに語り、裕福な環境を自慢するのではなく、笑い話に変えてしまうのがまた魅力でした。

お金持ちのイメージが変わった瞬間

成績優秀で穏やか、誰にでも優しく接するジェームズ。桁違いの裕福さを持ちながらも、気取らず可愛らしい一面を見せる彼に触れ、私は「お金持ちは近寄りがたい」という自分の思い込みを恥ずかしく思いました。ジェームズのおかげで、裕福さと人間味は両立するのだと気付かされたのです。

【体験者:20代・女性学生、回答時期:2012年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。