怒りの電話にパニック
「遅いんだけど! いつ来るの? どんだけ待たせるの?」
受話器を取った瞬間、いきなり女性の怒鳴り声が耳に飛び込んできました。あまりに強い口調に思わず背筋が伸び、「お待たせして申し訳ございません」と反射的に謝るしかありませんでした。
ところが相手は、私の言葉を遮るように不満をまくしたてるばかり。「ずっと待ってるんだけど!」「何時間待たせるつもり!?」と怒りが止まりません。
内容を確認したくても、こちらの声が一切届かず、私は「何の件で怒っているんだろう?」と頭の中がパニックに。
明かされた意外な理由
そのとき、ある出来事が思い出されました。
以前、「タクシー1台お願いします」と予約の電話が入ったことがあり確認してみると、うちの会社の電話番号が地元のタクシー会社さんとよく似ていることが発覚したのです。市外局番の末尾が一桁違うだけで、ほとんど同じ番号です。
拍子抜けした結末
「恐れ入りますが、こちらは〇〇会社でして……タクシー会社さんと番号が似ているので、もしかしたら間違いではないでしょうか」と伝えると、受話器の向こうで一瞬の沈黙。
先ほどまで激しい口調だった女性が、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で「……間違えました」と言って電話を切りました。
その瞬間、張り詰めていた空気が一気に抜け、私は思わず苦笑い。あれほど強い怒りに満ちたクレームが、実は“間違い電話”だったなんて拍子抜けでした。
今では笑い話に
もちろん、最初は本気で焦りました。電話口でひたすら謝りながら「誰の、どの案件で怒っているのだろう?」と、必死に考えていた自分が少し滑稽に思えます。
しかし、こうした“電話番号あるある”は意外と多いもの。私もも電話のかけ間違いには注意しようと思います。
体験者:20代・女性会社員、回答時期:2023年9月
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。