キッズスペースは、小さな子どもが安心して遊べる場所。ところが、その安心をおびやかす存在が現れて……!? これはショッピングモールのインフォメーションセンターに勤務する友人の体験談です。
夏休みのキッズスペース
私の勤務するショッピングモールには、未就学児専用のキッズスペースがあり、保護者同伴で小さな子どもたちが安全に遊べる場所として人気です。
ところが、夏休みに入ると小学生高学年の男の子が2〜3人で頻繁に遊びに来るようになりました。
本来は未就学児向けのエリア。保護者から「危ない」「子どもがぶつかった」とクレームが何度も入るようになりました。
注意しても繰り返される迷惑行為
インフォメーションセンタースタッフを始め、警備員や清掃員がその都度注意をしていなくなっても、しばらくすると彼らはまたやってきます。
未就学児にぶつかっても謝らないだけでなく、おもちゃを壊してしまうなど、迷惑行為は一向に収まらず、従業員全員で頭を抱えていました。
夏休みの賑わいの中で、保護者の不安とクレームも高まるばかりです。
突然現れた教頭先生
そんなある日、また同じようなクレームが入り、キッズスペースへ向かいました。小さな子が遊んでいる中、小学生たちが走り回っています。
注意しようとしたその瞬間、一人の男性が颯爽と現れ、「出なさい!」と一喝。青ざめた小学生たちはすぐに外へ出ました。
男性は周囲の保護者に深々と頭を下げ、「私は教頭を務めております。うちの生徒が大変申し訳ありませんでした」と謝罪。小学生たちにも頭を下げさせ、その場を後にしました。
人脈が繋いだ静かな解決
驚きながらインフォメーションセンターに戻った私は、「偶然教頭先生が通りかかってくれたみたい!」と同僚に話しました。すると同僚から意外な返事が。
「実は私のおじいちゃん、昔校長先生をしていて、この件を相談してみたの。そしたら、おじいちゃんが何とかするって言ってくれて」
なんと、同僚のおじいちゃんが現役時代の人脈をたどり、小学生が通う学校の教頭先生に連絡してくれていたのです。
その日以来、小学生たちはキッズスペースに現れることはなく、安心して遊べる平和な日常を取り戻すことができました。
長年築かれた人とのつながりや縁が、子どもたちの安全と穏やかな空間を守ってくれたのでした。
【体験者:30代・女性・会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。