たくさんのお客さまと従業員が行き交うカフェには、さまざまな人間模様があります。ある日、お店に美しい容姿と大人な振る舞いに思わずキュンとしてしまうお客さまが現れて……!? これは、カフェで働く友人が体験したお話です。
華やかな職場
私が働くカフェは、映画のワンシーンに出てきそうな場所です。
従業員もお客さまも美男美女が多く、早朝から夜遅くまで香ばしいコーヒーの香りと笑い声が広がります。毎日多くの人が行き交うその空間には、様々なドラマがあります。
現れた一人のイケメン
ある日、ひときわ目を引くスーツ姿の男性が来店しました。落ち着いた雰囲気と整った顔立ちに、店内の女子たちは一気に色めき立ちました。ドリンクを手渡す際にカップにメッセージやかわいらしいイラストを描こうと、女性スタッフたちの競争が始まったのです。
中には自分の連絡先をこっそり書き添えるスタッフまで現れ、彼が来るたびに“カップ争奪戦”が繰り広げられるようになりました。
意外な名刺の行方
ところが、彼は誰とも特別な進展を見せないまま、毎日のように店に訪れました。そんなある日、ついに彼が一人のスタッフに名刺を差し出したのです。周囲が息をのんだのも無理はありません。
名刺を受け取ったのは、カップ争奪戦にはまったく加わっていなかった、控えめでどちらかといえば飾り気のない女性スタッフ。彼女はいつも真面目でひたむきに仕事に打ち込んでいたので、そんな姿が彼の心を射抜いたのでしょう。
夢を優先する芯の強さ
さらに驚くことに、彼から何度もアプローチを受けても、彼女は「バリスタになる夢をかなえるため、今は仕事に専念したい」と丁寧に断ります。彼はそれでもめげることなく、今もカフェに通い続け、彼女が夢を叶える日を静かに待っています。
華やかな職場で起きたこの出来事は、人の本質を見抜く眼差しと夢に向き合うことの美しさを教えてくれました。それは、本物の映画よりも印象的で素敵な瞬間でした。
友人は今もカフェに勤務しながら、二人の恋路を見守っています。真の美しさとは、内面からあふれ出るもの、と感じたエピソードです。
【体験者:30代・女性・会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。