ワンオペ育児に責任ある仕事に目まぐるしく過ぎていく日々……。心に余裕がなくなっていくこともありますよね。これは、日々の忙しさで心も体もクタクタだった私が救われた、ある日のエピソードです。

ワンオペ育児と仕事の重圧

私が保険会社に勤務していた時の出来事です。
毎朝2人の娘を保育園に送り出し、そこから片道1時間半かけて都内の職場へ通っていました。夫の帰宅は毎晩22時過ぎで、平日はほぼワンオペ。

家事も育児も仕事も一人で背負う生活で、育休から復帰後すぐにチームリーダーを任され、やりがいは充分ある一方で、責任もプレッシャーも大きく、気力だけで走り続けているような日々でした。

子どもの涙と母の言葉

そんなある朝。娘たちが「ママ、お仕事行かないで! ずっと一緒がいい!」と泣きながらしがみついてきました。
しかし、電車の時間が迫って焦っていたので、私はしゃがんで目を見ながらこう話しました。

「ママね、みんなと旅行に行ったり、好きなお菓子やおもちゃを買ってあげたいからお仕事頑張りたいんだ。ちょっと大変なときもあるけど、力を合わせてがんばろうね!」

その日は無事に娘たちを保育園に送り出せたものの、心の中はずっとモヤモヤしていました。

長女のまっすぐな励まし

数週間後の朝、いつものように保育園に向かって歩いているときでした。当時5歳だった長女が突然口を開きました。

「あのね、毎日毎日保育園疲れるし大変だけどさ、ママにアイス買ってあげたいから保育園頑張りたいんだ! 大変なこともあるけど、力を合わせてがんばろうね!」

その言葉に私は思わず笑いながらも胸が熱くなり、今にも涙がこぼれそうになりました。子どもなりに、私の言葉を理解しようとして受け止めてくれているのだと実感できたのです。

家族が支え合うという気づき

私は思わず「そうだね。ママも頑張るから、一緒にアイス食べようね」と返しました。
家族のために一人で頑張らなきゃと思い込んでいましたが、実際は「家族がいるから頑張れている」のだと気づかせてもらえました。

小さな子どものまっすぐな言葉が、母であり一人の働く大人である私の背筋を伸ばし、心を軽くしてくれた瞬間でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2023年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。