人生には、なぜか不運が続く時期があります。努力しても結果に繋がらず、むしろ悪いことばかりが重なる……。そんな時、「自分に原因があるのでは」と考えてしまうこともあるかもしれません。今回は、筆者の兄が体験した、忘れられないエピソードを紹介します。

続いた不運の日々

私は、若い頃から「運が悪い」と感じていました。中学までは特に問題なく過ごしていたのですが、高校に入ったあたりからだったと思います。何をやっても上手くいかない……。新しいクラスに馴染めず、ちょっとしたことで悪口を言われ、気づけば独りきり。次第に学校に行くのが苦痛になりました。結局、心がもたずに高校を中退。

アルバイトを始めても、先輩から執拗に嫌味を言われたり、仕事のミスを押し付けられたりと、長く続けることができませんでした。

金銭トラブルの連続

交際した女性との関係も、不思議と上手くいきません。付き合った当初は順調でも、相手の借金や友人間の金銭トラブルに巻き込まれ、最後はいつも揉めて別れる形に。自分にも非があったかもしれないけれど、あまりにもトラブルに巻き込まれることが多いのです。

そんなことが何度も重なり、気がつけば「俺は運が悪い人間なんだ」と思うようになっていました。

夢に現れた存在

数年前のある夜、強烈な夢を見ました。大きなヘビが目の前に現れ、じっとこちらを見つめてくるのです。あまりにもリアルで、目が覚めても心臓が早鐘のように打っていました。

――その瞬間、頭に浮かんだのは、中学時代に自分が犯した過ちでした。幼馴染と帰宅途中に偶然見つけたヘビを、私は面白半分にいじめたのです。振り回したり石を投げたり、今思えば最低なことをしていました。幼馴染は「止めなよ」と言ったのに、私は聞く耳を持たなかった。その時の光景が鮮明によみがえってきたのです。

過去からの警告

これまで続いてきた不運は、あの時の行いの報いなのではないか――そんな考えが浮かびました。夢に出てきたヘビは、偶然ではなく「忘れるな」と告げる存在だったのかもしれません。

命あるものを粗末に扱えば、いずれ自分の人生に返ってくる。そう考えると、不運続きだった自分の過去も、全て納得できる気がしました。

学んだこと

それ以来、私は生き物を決して軽んじないようにしています。小さな存在でも、命に変わりありません。
過去の過ちは消せないけれど、それを糧にして未来を歩くことはできるはずです。夢に現れたヘビは、恐怖を与えるためではなく「生き方を見直せ」という警告だったのだと感じています。

【体験者:40代・男性会社員、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。