明るく優しい人ほど信じてしまうけれど、人は見かけによらない。そんな人に出会ったことはありますか? これは私自身が大学時代に体験した、忘れられない「人の本質」にまつわるエピソードです。

明るく頼れる人気者

大学時代、私は駅前にあるチェーン系のカフェでアルバイトをしていました。大きな駅の目の前という立地もあって店は常に忙しく、大学生のバイトが多かったこともありテスト期間には人手が足りなくなることも珍しくありません。そんな時は、他店舗から社員さんがヘルプに来てくれます。中でもよく顔を出してくれていたのが、吉川さん(仮名・30代後半の男性)でした。

優しさで支えてくれた存在

吉川さんはとても明るく、誰に対しても分け隔てなく親切でした。常連のお客様の中には、他の店員が少し苦手意識を持つ人もいましたが、吉川さんはニコニコと対応し、空気を和ませてくれました。人望が厚く、バイト仲間からも大人気。私自身も働き始めたばかりで不安の多い時期でしたが、「今のお客様への声のかけ方、すごく良かったよ!」と褒めてくれたり、失敗して落ち込んでいると「大丈夫大丈夫!もう少しだよ。すぐできるようになると思うよ」と励ましてくれたり。その存在にとても救われていました。

思いがけない事実……!

ところが、ある時期を境に吉川さんの姿を見なくなったのです。別の店舗に行っているのか、それとも転職……? 気になった私たちバイトメンバーは店長に尋ねることに。そして耳にしたのは、信じられない事実でした。なんと吉川さんは、アルバイトが使う更衣室にビデオカメラを仕掛け、着替えなどを盗撮していたそう。その発覚により解雇されたと聞き、私も仲間も愕然としました。あんなに明るく、人望の厚い人が、そんなことをしていたなんて……。

見かけではわからない本質

彼がそんなことをするなんて想像もつかず、みんな大きなショックを受けました。「人は本当に見かけによらない」そう痛感した出来事でした。人の本心は簡単には見えないと知り、しばらくは人間不信にもなりましたが、それ以来、私は人を見るときに「表面」だけでなく「本質」にも目を向けようと意識するようになりました。同時に、自分自身は「信頼される存在でいたい」と強く思うようになり、人との関わり方も少しずつ変わっていきました。

【体験者:20代・女性学生、回答時期:2024年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。