壊れ始めた、いつもと変わらないはずの日常。原因がわからないまま、不安が広がっていく恐怖を感じることがあるかもしれません。今回は、筆者の知人が体験した不思議なエピソードを紹介します。

穏やかな夫の変化

結婚して8年目。義実家の農業を継いだ夫は、誰もが「優しそう」と言うような雰囲気で、実際とても穏やかで優しい人でした。息子が生まれてからも育児に協力的で、家族の時間を何より大切にしてくれていたと思います。そんな夫の様子が、ある時期を境に変わり始めました。イライラした態度が目立つようになり、言葉もどこかトゲのあるものに。最初は、農業でのストレスだろうと思っていたのですが、その変化はどんどん加速していきました。

義母からの連絡

そんなある日、義母から電話がありました。「アツシ(夫・仮名)の様子が変なの。おばあちゃんがちょっと気になるって言ってて……明日来れる?」翌日、夫と一緒に義実家を訪れると、義祖母が真剣な顔で話し始めました。「お寺に聞いたらね、昔からアツシを守ってくれてる力が弱まってるかもしれないって。この家と縁があるお寺が隣の県にあるのよ。そこに行って、お札をもらっておいで」

お札とともに戻ってきたもの

実は、夫は幼い頃から病弱で、ケガも多かったそうです。まるで何か見えない力に支配されているような……。そこで頼ったのが、所縁のある隣県のお寺。本来なら毎年お参りするべきなのですが、もう大丈夫だろうと、ここ数年は行かずじまいだったそうです。
私たちは息子を義両親に預け、夫婦でお参りに出かけることになりました。お寺で静かに手を合わせ、住職からお札を授かりました。「毎月1日と15日にはしっかり手を合わせてください」との言葉を受け取り、帰路についた私たち。すると不思議なことに、夫の表情が柔らかくなっていて、あの穏やかだった夫に戻っていました。

守られているという安心感

もしかすると、あの変化はたまたまだったのかもしれません。けれど、何か大きなきっかけが必要だったのだと感じています。今では毎月、お札に手を合わせることを欠かしません。そして年に一度は、あのお寺へお参りに行こうと夫と話しています。
人の心は、目に見えない何かによって左右されることがある。そう気づかされた出来事でした。

【体験者:40代・女性自営業、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。