ホームセンターでの出来事
私が働いていたお店では、生花だけでなく造花の販売も一年中行っています。ある日、1人の女性が来店し、造花の売り場でどれにしようかと何本も手に取り、真剣に迷っている姿を見かけました。それから30分後、様々な色の造花を6本ほど購入した女性は、満足そうに店を出て行きました。
見つからない造花
しかし、しばらくすると、女性はサービスカウンターに慌てた様子で戻って来ました。「先ほど、造花を6本購入したのですが、駐車場に戻る間にどこかで2本落としてしまったみたいで……。ピンクと水色の造花なんですが、もし見つかったら連絡をいただけますか?」と、購入したレシートを出して、悲しそうに言いました。
どうやらその女性は、親戚の月命日に持って行くために造花を購入し、購入後はリュックに入れていたそうですが、造花は長さがあったため、半分リュックから出ていた状態だったそうです。
その後、従業員で女性が通った所を何度も探したのですが見つかりません。造花は目立つ色なので、駐車場に落としていたらすぐに分かるはず……。しかし、どうしても見つけることができず、また、その日は風が強かったのもあり、どこかに飛ばされた可能性もあると考えました。
不思議なこと
数日後、女性が小走りでサービスカウンターに再び来店されました。「実は今日、造花を2本買い足すためにまた来たのだけれど、この前の造花が見つかりました!」と嬉しそうに笑顔で話します。「今日、丁度車を停めた駐車場の縁石に、水色とピンクの造花が置かれてたんです。それを見た瞬間、これは私が購入した商品だとすぐに分かりました」と続けました。
「あれだけ一生懸命探しても見つからなかったのに、数日後に見つかるなんて……。きっと親戚が見つけて届けてくれたのね! 心を込めて選んで良かったわ」と、満面の笑みで去って行きました。
届いた想い
もう見つけるのは厳しいと思っていたので、見つかって私も嬉しくなりました。もしかしたら、故人を想って購入した造花を無くしてしまい、必死に探す女性の姿やその想いが、空の上に届いたのかもしれないと思う、そんな不思議な出来事でした。
【体験者:20代・主婦、回答時期:2021年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。