身近な人との思い出が詰まった写真。何となく見返したとき、ふとした違和感を覚えることがあるかもしれません。それが気のせいなのか、本当は何か意味があるのか――。これは、ある出来事をきっかけに見えない世界との繋がりを感じることになった、筆者本人が体験したエピソードです。

祖母が大切にしていた1枚の写真

私の祖母は、生きている頃から何かが見える人でした。特に霊感が強く、親族の間でも「おばあちゃんには分かるらしい」と噂されるほど。

そんな祖母が亡くなって1年ほど経ったある日、祖母の部屋に飾ってあった1枚の写真が私の目に留まりました。それは、祖母が可愛がっていた親戚夫婦の結婚写真で、祖母が元気だった頃からずっと同じ場所に飾ってあったもの。

何度も目にしてきたその写真をふと見たとき、妙な違和感がありました。

写真の一部、男性の顔の近くに、ぼんやりと“白いもや”のようなものが写っていたのです。「あれ? 前はこんな感じじゃなかったような……」そう思い、すぐに母に声をかけました。

住職から告げられた一言

母も写真を見て、「ほんとだ。前はこんなのなかったよね」と気になった様子。そこで私たちは、以前から親しくしているお寺の住職に、その写真を見てもらうことにしました。

住職は写真に目を落とすと、静かにこう言いました。
「この白いもや、亡くなったおばあさんだよ」

さらに住職は続けて「どうやら、この写真に写っている男性のことがとても心配で、姿を見せたみたいだね」と言います。

「祖母が心配? なぜ?」
住職の言葉に、私と母は不安になり、すぐにその親戚夫婦の家を訪ねることにしました。

偶然とは思えない夢の知らせ

久しぶりに訪ねた私たちに、奥さんは話してくれました。
「実はね、主人、今入院してるの。癌が見つかってね……」と。

驚きとともに胸がざわつきました。そして奥さんは、さらにこう続けたのです。

「主人、数日前に夢を見たって言ってて。おばあさんが出てきたらしいの。すごく心配そうな顔をしてたけど、“大丈夫だ。すぐによくなるからな”って言ってたって……」

まさか、祖母はあの写真を通じて、私たちに何かを伝えようとしていたのでしょうか。私たちが写真の話をすると、奥さんは少し驚いたように笑い、「不思議なこともあるんだね」とポツリと呟きました。

祖母からのメッセージ

それからしばらくして、親戚の男性は無事に癌を克服しました。今では何事もなかったかのように元気に過ごしています。そして、写真の一件をきっかけに、その親戚夫婦と私たちは今まで以上に良好な関係を続けています。

私たちにとって、あの写真に現れた白いもやは、ただの偶然では済まされないものでした。それは祖母の想いが残した、ささやかなメッセージだったのかもしれません。あの日感じた違和感。見えない世界との繋がり、確かな意味があるのだと、改めて感じた出来事です。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。