昔から、場所には“気”が宿ると言われています。見えないものが私たちに影響を及ぼすかどうか、捉え方は人それぞれですが、何気ない行動が思わぬ結果を招くことも……。今回は筆者本人が体験した、ゾッとするような不思議なエピソードを紹介します。

実家に現れた黒い人影

私の実家は、昔から不思議なことが多く起こる家でした。誰もいないはずなのにも関わらず物音や足音がしたり、窓や鏡に人影が不自然に映り込んだり。土地の影響なのか、家系なのかは分かりませんが、母も私の兄弟たちも見えるタイプ。

結婚して家を出たあとも、定期的に実家に顔を出していた私に、ある日、母がこんなことを言ってきたのです。「最近、黒い人影がよく通るんだよね」

詳しく話を聞くと、実家で暮らす兄も同じものを目撃しているそうで、私も気になり始めました。

軽い気持ちで始めた対策

当時の私は、スピリチュアル系の動画をよく見ていたこともあり、「じゃあ、盛り塩してみたら?」と母に提案。すると「いいね、それやってみよう!」と母も乗り気です。さっそく私と母は外に出て、家の四隅に盛り塩を設置することにしました。

すべての場所に置き終わったその瞬間、家の中からバターン! と、鈍く重たい音が響いたのです。

思いもよらない事態に

私が家の中へ駆け込むと、先に戻っていた母が真っ青な顔で「お兄ちゃんがトイレで倒れたみたい!」と叫びました。

私はトイレのドアを叩きながら「兄さん、大丈夫?」と声をかけましたが、返事はありません。急いで鍵を開けて中を確認すると、兄がドアにもたれるように倒れていて、意識がない状態。幸い呼吸はありましたが、一刻を争う状況だったため救急車を呼びました。

そして兄が担架に乗せられ、家の外に出たその瞬間、兄の目がパチッと開いたのです。「えっ? なに? なんで救急車来てんの?」と、まるで何が起こったのか全く覚えていない様子でした。

祖母はすべてを知っていた?

病院で精密検査を受けても、どこにも異常は見つかりません。念のため兄は一泊入院することになり、私は母と一緒に実家へ戻りました。家に入ると、祖母が静かにこう言いました。

「生兵法は大怪我の元って、よく言うだろ」

祖母は家族の中でも特に霊感が強いのですが、普段はあまり口を出しません。そんな祖母が、「盛り塩は片づけておいた」と、真顔で言ったのです。

軽い気持ちで行動した代償

後日、私は盛り塩について調べてみました。すると、盛り塩は浄化の効果がある一方で、場に溜まっていた存在を閉じ込めてしまう可能性もあると知りました。

もしかすると、家の中をうろついていた黒い影を塩で囲ってしまい、家の中にいた兄が影響を受けてしまったのかも知れません。あの日、軽い気持ちで行動した私たち。しかし祖母が言ったとおり、あいまいな知識を行動に移した結果、とんでもない災難を招く恐ろしさを身をもって知ったのでした。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。