ドラッグストアでの仕事は意外と力仕事。だからこそ、ダイエットに向いているのかもしれません。しかし、ダイエットの度にぶつかる壁も……!? 今回は、筆者本人が身をもって経験しているエピソードを紹介します。

田舎のドラッグストアは和気あいあい

私の働くドラッグストアはとても田舎にあり、お客さんのほとんどは顔見知りです。常連客ともなれば、お互い敬語もなく冗談を言い合ったり家の話をしたり。店員と客というより、親戚のような関係性になります。

「あんたに会わないと元気が出ないんだよ」「ここの店員はみんな冗談が通じるから楽しい」そんな言葉が飛び交うこの店では、いつもあちこちで笑い声や話し声が聞こえています。

年に一度の“燃えるきっかけ”

たくさんの常連客の中でも、私が一番仲良しなのが、少し口の悪い年配の男性客Kさん。毎日のように来店しては私に悪態をつき、私が冗談っぽく言い返せば笑ってご機嫌になるという、ツンデレな人です。そして春になると必ずKさんはこう言います。

「あれ? お前太ったんじゃないか?」
私はもともと太りやすい体質で、冬の間に体重が増えるのは毎年のこと。でもこの一言で火がついて、「太ったけど大丈夫! すぐ痩せるから!」と、健康診断に向けて本気のダイエットモードになるのが恒例行事。なぜか同僚たちまで便乗し、春から夏は店全体がダイエットフィーバーに。

なのに痩せない部位が

食事制限に加えて、仕事中も意識して体を動かすため、お客さんからは「仕事頑張ってるなぁ!」と言われるけれど、実は痩せたくて必死なだけ。そして数ヶ月後、健康診断が終わる頃には体重はちゃんと落ちて、Kさんからも「お? なんか痩せたな?」とお褒めの言葉。

……と思いきや、続けて一言。「あれ? 腕は太ったな」

そう、どれだけ体重を落としても、私の腕だけは痩せないどころかなぜか逞しく育っていくのです。

筋肉と共に働く日々

実は、ドラッグストアの仕事は見た目以上に力仕事。重い荷物と日々格闘し、350mlのビール2ケースくらいなら余裕で運べるし、トイレットペーパーの巨大な段ボールも一人で積めます。お客さんに「これ重いから気をつけてね」と言われても、正直まったく重く感じません。

痩せたい一心で仕事を頑張るほど、腕だけはどんどんマッチョに進化。お腹は引っ込み、脚はほっそり。でもノースリーブなんて、夢のまた夢なのです。

「ドラッグストアで働いてる以上、この腕と一緒に生きていくしかないな……」そう諦めていた私ですが、「母ちゃんの筋肉スゴイ!」と尊敬のまなざしを向けてくれる我が子の言葉に救われています。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。