今回は、私がホームセンターに勤務していた時の同僚にまつわるエピソードです。パートの中野さん(仮名)は、日頃から「正社員になりたい」と話していました。そんな彼女は、店長や副店長にあからさまに媚びを売っていて……!?

正社員登用

私がホームセンターに勤務していた時のこと。会社には、年に一度アルバイトやパートの従業員が正社員に登用される制度がありました。希望者が誰でも正社員になれるわけではなく、店長と副店長の推薦後、エリアマネージャーの確認を経て、本社の人事部が面談を行うという流れでした。

仕事をさぼる中野さん

ペット売り場担当の中野さんはパートの期間が長く、ずっと正社員になりたがっていました。そのためか、仕事の途中でも事務所で店長と副店長を見かけると、話しかけて長話をするのがルーティン。そして、「昨日休みだったんですけど~、おしゃれなパン屋さんに行ったんです! 次のお休みにも行くので、店長と副店長の分も買ってきますね! 店長が好きなパンは何ですか?」と、明らかにほかの従業員とは態度に差をつけていました。

それなのに中野さんは「仕事が終わらない。ペット売り場を管理するのって大変!」と他の従業員に愚痴を言います。しかし、周りは「また言ってる」と呆れムード。「店長たちに媚びを売ってる時間を仕事に回せばいいのに!」と陰口を言っている従業員もいました。
そうやって中野さんがさぼっている間、同じペット売り場の木下さん(仮名)は残業をしてまで売り場で真面目に仕事をしていました。

選出されたのは!?

そんな中、店長と副店長の推薦で中野さんが正社員候補に!
衝撃のニュースに従業員がざわめいていると、エリアマネージャーがやって来ました。そして、「正社員登用のことですが、木下さんはどうですか?」と店長に言いました。「中野さんを推薦しているのですが.......」と返す店長。

「木下さんはいつも真面目に黙々と仕事をしています。その反面、中野さんはどうでしょう? 私が店舗に来る度に事務所で無駄話をしている。他の従業員からも中野さんの普段の様子は聞いています。それでも中野さんを推薦しますか?」

エリアマネージャーの正論に、店長は何も言い返すことができず押し黙ってしまいました。

見ている人は見てる

そして、エリアマネージャーの推薦で、木下さんがめでたく正社員に。他の従業員も「木下さんが選出されるなら納得!」と声を揃えて言いました。
仕事をする姿は、だれかが必ず見ているもの。表面的に取り繕わず、仕事に誠実に向き合うことの大切さを学んだ出来事でした。

【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2022年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。