積雪のある地域
これは、私がホームセンターで勤務していた頃の出来事です。
ある時、私は宮城県に転勤になりました。そこは冬になると頻繁に雪が降り、雪かきが必要な店舗。従業員は地元出身者が殆どだったため、皆雪道にも慣れていて、雪を珍しいものとして思っていませんでした。
雪かきの判断基準
会社では早番の正社員が実際の出勤時間より2時間以上早く出勤をし、雪かきをすることになっていました。
しかし、雪かきの要否の判断基準は個人任せで、朝に出勤者が雪かきが必要だと思ったら早めに出勤をするという曖昧な基準となっていたのです。
雪に慣れていない私は、雪がある程度降ると雪かきが必要と判断し、毎回早く出勤をしていました。しかし、行ってみたものの雪かきは必要ないとその場で上司から言われることもしばしば。
曖昧なルールの撤廃!?
反対に、「この位の雪は、前回と同じような量だから雪かきはなしかな」と私なりに判断をし、シフト通りに出勤した時、副店長に「どうしてサボったんだ!」と言われてしまったこともありました。
正直に「雪かきの要否の判断基準がわからないので、教えてほしい」と伝えてみたこともありましたが、「そんなの感覚でわかれよ!」と言われてしまうのでした。
「わざとではないのに......」と私は思いましたが、言い返せるわけもなく、ただ早番の日は早く出勤し、冬が過ぎるのを待つしかありませんでした。
そんなもやもやを抱えながら勤務していた、ある日のこと。
新しい店長が他店舗から就任してきたことで、事態は一変しました。
スムーズに出勤!
雪の降らない地域出身の店長は、副店長に「ここの店舗は、どうやって雪かきの要否を判断しているの?」と聞きました。それに対して副店長が「担当社員の感覚、自己判断に任せています!」と当たり前のように言うと、店長の声のトーンが変わりました。
「そんな曖昧な判断だと、雪が降らない地域から来た人はわからないよ。雪かきがあると思って出勤したけど、実際はしないってなると、店舗が開くまで担当者は無駄な時間を過ごすことになるでしょう。かわいそうだと思わない? 手間で悪いんだけど、雪かきが必要な時は君から朝一番に社員に連絡を入れるようにしてほしい」
思いがけない店長からの注意に、自信満々だった副店長は恥ずかしそうに下を向いて顔を赤くしながら「すみません、承知しました」とだけ答えたのでした。
その後、朝一番の連絡が定例化され、私も雪かきの判断に迷うことなく、スムーズに出勤することができるようになりました!
曖昧なルールは、時に思いがけぬトラブルや事故のもとになる恐れもあります。
社員が仕事に集中できるよう、規則やルールはしっかりと定めてほしいものですね。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2019年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。