私が働いているドラッグストアでは、友達同士でお店にくるお客様もいます。賑やかな買い物の様子は心が和むものですが、そうもいかないときも……。今回は、筆者本人が目撃した仲良し3人組のエピソードを紹介します。

同じスポーツを楽しむ仲良し3人組

私の住む地域では色々なスポーツ大会が開催されていて、私の働くドラッグストアにも大会の景品などの買い出しをするお客様が多くいらっしゃいます。

ある日、同じスポーツを楽しむ仲良しの年配女性3人組が来店。以前から一緒に買い物に来る明るくて元気な女性たちです。どうやらスポーツ大会が近いらしく、景品の買い出しのようでした。

楽しそうに商品を選ぶ3人の雰囲気は次第に……

カートを押しながら、「初の買い出し担当! 責任重大ね!」「みんな、私たちの選んだ景品で喜んでくれるかしら?」と、店内に入るなりキャッキャッと楽しそうに景品を選んでいます。そんな様子を見て、私まで楽しい気持ちになりました。ただ、予算に合った商品を選ぶのに手間取っていたのか、雰囲気が次第に悪くなっていったのです。

商品を選び終え、なんとか会計を済ませた3人ですが、それでもなお不穏な空気。どうやら買い物に不備があったようで、ただでさえ狭いレジ付近で確認作業を始めてしまいました。

責任を押し付け合い口げんかに発展

最初こそ「もっとちゃんと確認しておけばよかったわ」「まずは落ち着きましょう」と言っていましたが、次第にヒートアップ。

「あなたが数え間違えたんでしょ?」「あなたが余計な話ばかりしてくるからよ」「あぁもう、なんでこんなに面倒くさいことやらなきゃならないのよ!」と責任の押し付け合いで口げんかにまで発展してしまったのです。

さすがの状況に、私は「すみませんが、他のお客様のご迷惑になりますので、それ以上は店の外でお願いします」と伝えました。けれど火に油。「はい? 今確認してるんだから少し待っててよ!」と、ものすごい剣幕で言われてしまいました。

男性客のおかげで大人しくなったけれど……

どうしようかと悩んでいたところ、ちょうど会計をしていた男性が3人に向かって、「ちょっと邪魔だよ。うるさくてレジの人の声が聞こえないんだけど」と一喝。

周りのお客さんからの冷たい視線に気づいた3人はそれまでとは打って変わって静かになり、足早に店を出ていったのです。その日以降、一緒に買い物に来ることはなくなりました。

予想外? その後の3人の関係

後日、3人のうちの1人が来店し「あの時はごめんなさいね」と謝罪してくれました。「こちらも、ああ言うしかできずに申し訳ありません」と私が頭を下げると、恥ずかしそうに「あれから申し訳なくて3人で買い物に来られなくてね」と女性。

女性たちはあの事件で仲違いしたわけではなく、今でも仲良くスポーツを楽しんでいると教えてくれました。「気になさらず、これからも3人でいらしてください」そう伝えると嬉しそうに帰っていったのです。これからまた楽しそうな3人の声を聞いて元気を分けてもらおうと思います。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。