一言でアパレルと言っても、その業務内容は多岐に渡ります。だれしも、業務によって好き嫌いや得意・不得意があるもの。今回は、私が以前働いていたお店で、“とある業務”を拒否したスタッフのお話をご紹介します。

裾上げサービスを行っているお店での話

私が某ショッピングセンターの服屋さんで働いていた時、同じ店にいた40代フリーターの男性・長崎さん(仮名)の話です。そのお店では裾上げのサービスを行っており、スタッフは入社時に裾上げの練習を行うのが当たり前でした。

しかし、長崎さんは最初から「俺は苦手だからやりたくない」と拒否。とはいえ、お店で裾上げ作業ができるのは私を含め3人しかおらず、ほかの2人は主婦で出勤時間や日数が限られていました。なので、「いつもお店にいる長崎さんに裾上げをできるようになってほしい」というのが、店全体の意見でした。

練習を始めるも、言い訳ばかりの長崎さん

店長も何とか教えようとし、長崎さんも一応練習をしていたようでしたが、「難しい」「時間がかかる」といった理由で、実際に裾上げをすることはありませんでした。

練習中も「俺、不器用だから」「っていうか俺ほとんど店長と同じシフトだから、店長がやればいいんじゃない?」と言い訳したり、人に押し付けようとしたり……。明らかにやる気がない様子でした。

私が裾上げしたのにまるで自分がやったかのように発言! 指摘すると……

そんなある日、私が裾上げを終えたお客さんの接客中、長崎さんがレジで「こういうのも丁寧に仕上げておきましたので!」と、まるで自分が裾上げを担当したかのようにお客さんに話していました。

お客さんが帰った後、その場で私が「それ、私がやったんですよ?」と言うと、長崎さんは「まあ、俺もできるけどね」と軽く流し、話を逸らそうとしました。

思わずむっとして、私が「だったら次は長崎さんがやってくださいね。いつも私がやってるんで」と言うと、「いや、時間があればね」「ちょうど接客中で手が空かなかった」と言い訳をして、結局その後も私に任せる形に。

お店のメンバーも、逃げ回る様子に呆れムード

さらに、お店のほかの店員さんも「長崎さん、結局やらないよね」「いつも言い訳してるし」と、裏で半ば呆れたように話していました。店長も「練習してるっていう割に、全然実践してないよね」と困り顔。長崎さんの言い訳は、お店のだれにも通用していませんでした。

苦手な業務から逃げたくなる気持ちはわかりますが、真剣に向き合わなければ、仕事仲間から信用を失ってしまいます。長崎さんの様子を見て、「得意かどうかより、何事も向き合う姿勢が大切なんだな……」と改めて感じたのでした。

【体験者:30代・販売員、回答時期:2023年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。