ある美容室のお話
私は、とある田舎の美容室で、正社員の美容師として働いていました。そこの美容室には、正社員以外の従業員もいて、アルバイトやパートの方々も多くいたのです。
同僚
同僚の1人には、保育園に通うお子さんがいる女性パートの阿部さんがいました。阿部さんの定時は毎日17時で、その後お子さんを保育園にお迎えに行っていました。
彼女の仕事ぶりの良さと礼儀正しさから、彼女は従業員やお客様からの評判も良く、しっかりと仕事を終わらせてから退勤する真面目な従業員の1人でした。
定時で退勤する姿に納得がいかず……!
ある日、正社員の塚田さん(仮名)の指名で、16時半にカラー予約のお客さんが来店されました。塚田さんのフォローに阿部さんが入りましたが、カラーを塗っている途中で17時になってしまったのです。
時計を見た彼女は、ちょうど切りの良いところまで作業を終わらせると、「17時なので申し訳ありませんが、お先に失礼いたします」と塚田さんにそっと伝えました。
塚田さんがそれを了承したのを確認し、自分の交代者を呼びに行きながら、阿部さんはバックヤードへと戻っていったのです。
そして、その日の店じまいを皆でしていた時のことです。
塚田さんは「阿部さんありえない! カラーを途中で投げ出して帰るなんて! どういう神経してるの? 前から思ってたけど、彼女、パートのくせにえらそうじゃない?」と大きな声で話しはじめたのです。
さらにそれだけではなく、「そう思うでしょ?」と塚田さんは私に同意を求めてきました。
しかし、私はこう言うことにしたのです。
「阿部さんが残業する理由ってありますか? そもそも阿部さんの定時は17時ですし、交代要員もいましたから、彼女に非はないですよね?」
塚田さんは、まさか私にそう言われるとは思わなかったのでしょう。予想外の返答に何も言い返すことができない様子でした。そして、その日以来、阿部さんが定時で退勤しても文句を言う人はいなくなったのです。
助け合い
様々な理由で、どうしてもほかの従業員に協力してもらわなければいけないケースは、誰にでもあると思います。その分、周囲への感謝を忘れず、真面目に仕事に取り組むことが大切だと思っています。
このような時、あなたはどちらに共感しますか?
【体験者:20代・女性正社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。