職場では、いろいろな人との出会いがあります。プライベートな話をする仲になると、自分とは異なる経験やエピソードを聞いて驚くことも。今回は、思わずどきっとしてしまった、同僚のエピソードをご紹介します。

年も近い「山川さん」がやってきた

私が某ショッピングセンターの服屋さんで働いていた時のこと。私の後に入ってきた、主婦の山川さん(仮名)の話です。山川さんは、不思議なオーラというか、ミステリアスな雰囲気がある人でした。しかし、年が近い上に主婦という共通点もあったため、すぐに打ち解け、プライベートな話をするように。

話を聞いていると、どんどん不穏な方向に……

すると聞けば聞くほど、山川さんに近しい人が不幸な目に遭っていることが判明します。

例えば、お父さんはトラックに轢かれ、一命は取り留めたものの大怪我を負い、続いて弟も交通事故に遭ってしまったそう。さらにお兄さんは結婚して子供が生まれ、これからという時に病気が発覚。以前勤めていた職場の同僚も、「足に違和感がある」と感じてまもなく大病であったことがわかったというのです。

「もしかして次は私?」

同じ主婦なので、シフトが被って毎日のように一緒にいる私。山川さんのせいではないとわかっていても、次々出てくる彼女の周りの不幸な話に「次は私なのでは?」とだんだん恐ろしくなってしまいました。

そんなとき、たまたま友達から京都で有名だというお清めのスプレーをもらいました。効果のほどはわかりませんが、「せっかくもらったし」とレジ付近にスプレー。山川さんとも、「有名なお清めスプレーらしいですよ!」と話して、一緒に頭からスプレーをかけました。

山川さんが辞めた後も何度か会っていたけど……

結局、山川さんは家庭の事情で退職されました。寂しいと思いつつ、少しだけホッとしてしまっている自分も。

退職後も、しばらくはランチに行くなど、友人として関係を続けていました。そのうち自然と連絡が減り、そのままお互い誘い合うことはなくなりました。今も時々山川さんのことを思い出すのですが、連絡を取ろうかどうか……迷ってしまう私がいるのでした。

【体験者:30代・販売員、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。